レポート
【mi's navi】小田原でパラレルワーカーとして働く! / 浦川拓也さん
当然、そのプラン次第では、住む場所も自由自在。そんな物差しで東京から小田原に移住してきたのが、浦川拓也さん。観光誘致のマーケティング支援や旅好きコミュニティの運営を行う会社「株式会社TABIPPO」の執行役員であり、マーケティングコンサルタント、プロコーチ、研修ファシリテーター。移住翌年の2022年には、小田原市内にパーソナルジム「GOOD LIFE GIM 小田原店」もオープンさせてしまった…という、その肩書きの多さが全てを物語っている、ザ・パラレルワーカーです。リモートでの勤務が珍しくない世相になったとはいえ、都内の会社での仕事、小田原のジムの仕事、はたまた各専門の活動を、1人の人間がどうこなしているのか。 小田原での生活やその思いも含めて、うかがってきました。
パラレルワーカーが小田原にやってきた!
「TABIPPO」での集合写真(浦川さん提供/photo by @megane_numa)
小田原に来る前から浦川さんが"本業"として携わっているのが、旅行好きな人たちのコミュニティを運営する会社でもある 「TABIPPO」での執行役員の仕事。事業全体の戦略やマーケティングなど、経営全般に関わっているそうです。会社の社風から、パラレルワーカーとして働くことへの壁はありませんでしたが、浦川さん自身、初めから"副業"を考えていた訳ではありませんでした。
研修ファシリテーターとしての仕事風景(浦川さん提供)
きっかけは、プライベートで参加していたコミュニティの管理人から、手伝いの声をかけられたこと。まずは、コミュニティマネージャーのようなかたちで、コミュニティのつくり方をコンサルティングするところから。次第に、「マーケティングコンサルタント」「コーチング」「研修ファシリテーター」…と、浦川さんの"副業"は増えていきました。
そんな中、世の中はコロナ禍に突入。リモート勤務などオンライン化による非接触が珍しくない社会へと進んでいきました。浦川さんが《移住》を考え始めたのも、この頃。
「飲みに行ったり、人と会ったりしなくなって。ふと東京から出たくなったんです」
当時は都内で現在の奥さんと同居中でしたが、その彼女もコロナによるフルリモート。居住地を変えることによる障害は、特にありませんでした。そんな浦川さんが候補地に選んだまちのひとつが、「小田原」。故郷の滋賀に通じる、「小田原」の都心への距離感、自然豊かな雰囲気、街の大きさ、人口の規模、車で移動するようなライフスタイル。
「(滋賀と)似てるなって。来てから気づいたんですけど」
地元に帰りたいと思いつつもコロナで叶わなかったところに、思いがけない、"帰郷の擬似体験"ともなったのです。
小田原の"もったいない"ポイント = ビジネスチャンス?
「GOOD LIFE GIM 小田原店」コーチによるトレーニング風景(「GOOD LIFE GIM 小田原店」提供)
浦川さんが日々意識しているのが、「健康の維持」。都内にいた頃、怪我や体調不良で仕事に影響が出たことをきっかけに、食事や運動に気をつけ、日常的にジムにも通うようになったそう。 "自分で自分の生活をコントロールする"ことを、積極的に心がけるようになり、それが実践できるまちということも小田原を選んだ理由の一つ。
そんな浦川さんですが、移住当初、知り合った小田原の人でジムに通っている人が少ないということと、都内に比べて、みんなが行くようなジムの数が少ないということを感じました。
「何でないのかな」という疑問から、自分にとってもみんなにとっても「あったらいい」という思いへ。浦川さんがパーソナルジム「GOOD LIFE GIM 小田原店」 をオープンさせたのは、2022年1月。移住から半年後のことでした。東京ではブームのパーソナルジムも、小田原の人たちにとってはまだ未知の存在。それでも、浦川さんにとっては"(小田原にも)いつかくるムーブメント"。踏み出すことに、抵抗はありませんでした。
「マーケティングが仕事なんで。戦略的に考えても、まあいけそうだよねっていうのと、もっと、そういうフィットネスカルチャーが小田原に広まったらいいのに、って」
実際にオープンしてみると、ジムは想定していたより高い反応で小田原の人たちに受け入れられ、1年後くらいかなと考えていた2店舗目も、想定よりも早く半年後の8月1日にオープンを迎えました。
「eemo」と浦川さん(浦川さん提供)
また、移住後早い段階で、小田原市内での新しいEVカーシェアリング サービス「eemo」を利用していました。すると、「eemo の方から、『ちょっと取材させてください』って連絡がきて」。eemo代表の藤井さんも交えて、色々と話しているうちに、「自分にも何かできないかな、もっとこういうことできるのにな、と。で、何か一緒にやりましょう、ってなって」。スタートしたのが、"eemoアンバサダー"の企画でした。
「わかりやすくいうと、ユーザーコミュニティを使ってファンを増やしていく活動。そういうプロモーションの企画と運営です」
アンバサダーは期間中、eemoを無料で体験することや、講義などで関連する知識や知見を深めつつ、仲間同士で交流することができる代わりに、その活動やeemoの情報をSNSなどで広めてもらう、といった内容。アンバサダー企画は1期、2期…と継続的に行われていくこととなり、2022年にはeemoの2周年イベントの企画運営にも携わりました。
「eemo全体を一緒に盛り上げてるイメージです」
「eemo」アンバサダー企画での講義風景(浦川さん提供)
移住前から関心をもっていた"フィットネスカルチャー"や"EVカーシェアリング"については、当時の浦川さんから見れば「小田原にも、遅かれ早かれ、絶対にくる。でも、今はまだきていないもの」に思えたので、「じゃあ、やろう」 というシンプルな動機でした。基本的に、全ての行動は”好奇心”がベースという浦川さん。 それを裏付けるのは、多くの仕事で培ってきた経験と戦略。そして、それは小田原の人たちにもヒット。 むしろ予想していたよりも早い、小田原の人たちのリアクションと感度のよさに、驚いてもいるそうです。
"小田原パラレルワーカー"のタイムスケジュール
自宅でのリモートワーク風景(浦川さん提供)
そんな、小田原の〈パラレルワーカー〉のタイムスケジュールは、まず、"本業"である 「TABIPPO」がベース。現在は完全リモートで、月に1~2回だけ都内に出社。平日の10時~19時は、小田原でリモートワーク。主に自宅や市内のカフェ、コワーキングスペースなどで仕事をしているそうです。とはいえ、タイムカードを押している訳でもなく、"裁量に任せる"スタイルです。 日中にコーチングや企業研修などが入りそうな時は、2~3時間程度であれば抜けることのみを報告、丸一日つぶれそうであれば有給をとるなどして対応。ジムに関しては、予約の管理や請求などは「どこでもできる」としつつ、平日の夜は、自分のトレーニングも兼ねて、週4日くらい店舗へ通っているそうです。
「トレーニングをしながら、トレーナーのマネージメントというか、現場でやってることに対してのフィードバックをしたり、気づいたことをチャットツールで連絡したり、っていう感じです」
都内でも小田原でも大きな変化はなかったという、"会社以外の場所でのリモートワーク"のスタイル。 パーソナルジムという新たな仕事は誕生したものの、「生活リズムは都内にいる時とそんなに変わらない」と浦川さん。
「でも、休日に遊びにいくことは多くなりました」
しいて変わったことをあげるとするなら、たくさん増えた小田原の友人たちの存在と、周辺の出かけたくなるような環境なのかもしれません。
やりたいことは「コミュニティづくり」
まとめると、「"コミュニティづくり"が好き」と話す浦川さん。振り返れば、本業から始まり、eemoの企画まで、職種や活動内容こそ違えど"コミュニティづくり"に関わることがほとんどでした。 ジムの仕事でも、それは常に意識しているそう。
「ジムはツール。小田原の面白い人たちが日常的に出たり入ったりするような場所づくり、っていう風にとらえてます」
そんな、人との関わりが増えてきた中で気になるのが、「困っていたり、うまくいかない、チャレンジできない、最初の一歩が 踏み出せないみたいな人が結構いたりする」こと。
「こうしたらいいのにな、と思うことが結構あるんです。周りの人たちの力にっていったらあれですけど、 何かサポートができるといいな」
これからやっていきたいこととして、「小田原にトレーニングのカルチャーをつくりたい」 というジムのオーナーとしての目標を掲げつつ、新たに動き出したコミュニティの"中の人"としても、率直な思いを語っていました。
浦川拓也さん、「GOOD LIFE GIM」2店舗目にて
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