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レポート

2025.07.02

酒匂川花火大会で出会う、小田原の“夏と暮らし”

打ち上がる音が夜空に響くたび、胸の高鳴りと共に色とりどりの花火が夏を彩っていく。
けれど、ここ小田原の「小田原酒匂川花火大会(以下、酒匂川花火大会)」には、他の花火大会にはない温かさと日常感が漂っています。

観光で訪れる人々だけでなく、地元住民にとっても「夏のはじまりを告げる風物詩」として愛され続けてきた酒匂川花火大会。その魅力や舞台裏を探るため、小田原市観光協会で花火大会の担当を務める齊藤さんにお話を伺いました。ちなみに齊藤さん自身も7年前に千葉県から小田原に移住した“移住組”の一人。移住者の目線も交えたインタビューとなりました。
 

小田原酒匂川花火大会HPはこちら(外部サイトリンク)
夏の夜空に咲く酒匂川花火大会。地域の人々に愛され続ける風物詩です
小田原市観光協会で花火大会を担当する齊藤さん。移住者の視点で小田原の魅力を語ってくれました

歴史を紡ぐ、地域の夏の風物詩

「酒匂川花火大会の起源は大正9年。昭和56年からは観光協会が主催する形になり、今年で第36回目となります」と齊藤さんは語ります。

現在では小田原市、警察、消防、消防団、自治会、赤十字奉仕団など多くの人が運営に関わり、地域全体の協力で支えられています。準備段階では、市民団体の清掃・草刈りも恒例となり、「まちぐるみで迎える花火大会」としての姿が根付いています。まさに暮らしの中にある特別なイベントです。

今年注目の演出は「北条五色備花火」

「酒匂川花火大会は、打ち上げ数だけで比べれば決して巨大な大会ではありません。でも、その分、音楽・レーザー・炎を組み合わせた“体感型の花火大会”が特徴なんです」と齊藤さんは教えてくれました。
 

観客の耳と目を同時に刺激するエンターテインメント性。

コンサート会場のような迫力のある演出は、老若男女を問わず毎年多くの来場者を魅了しています。音楽の選曲にも齋藤さん自身が関わり、「その年の流行や世代を超えた名曲をバランスよく選んでいます」とのこと。

特に今年の目玉は、小田原の歴史にちなんだ「北条五色備花火」。戦国時代の小田原北条氏に伝わる5色(赤・白・青・黄色・黒)をもとに、黒は夜空そのものと見立て、4色の鮮やかな花火で歴史物語を表現する企画です。地元文化を花火に昇華させるこの取り組みは、まさに小田原ならではの魅力です。

音楽と連動して夜空に描かれる鮮やかなレーザー演出。幻想的な光の空間が広がります
花火、音楽、炎がシンクロする迫力の特殊演出。観客を包み込む圧倒的な臨場感に注目です

メッセージ花火 ― 想いを空に届ける特別な時間

酒匂川花火大会ならではの企画として毎年話題になるのが「メッセージ花火」です。これは一般の方から募ったメッセージが読み上げられ、その想いとともに花火が打ち上がるというもの。
 

「プロポーズのメッセージや、亡くなった家族への感謝など、寄せられる内容は本当に多彩です。以前プロポーズの申し込みもありましたが、成功したかはわかりません(笑)」

と齊藤さんも微笑みます。
毎年限定5組の枠は早々に埋まる人気ぶりで、今年はすでに完売となっているそう。

今年はどんな想いがメッセージとなり、夜空に輝くのかも注目です。

誰かの想いが夜空に舞い上がる『メッセージ花火』。毎年感動の瞬間が生まれます

海も山も温泉も。小田原らしい“セット体験”

酒匂川花火大会は、日帰りだけでなく小田原観光とセットで楽しむのが“通”の過ごし方。

齊藤さんもこう勧めます。


「昼間は小田原城や箱根温泉、海辺の観光や新鮮な海産物を楽しんで、夜は花火大会、そしてそのまま宿泊してゆっくり帰るのが理想ですね」


首都圏から約1時間の距離にありながら、自然、歴史、グルメを丸ごと満喫できるのが小田原の魅力。
観光客はもちろん、インバウンド需要も高まっており、外国人観光客が日本の花火文化を体験しに訪れるケースも年々増えているそうです。

花火開始前のセレモニーでは北條太鼓の演奏も楽しめるそう

有料観覧席は“特等席”

今年も有料観覧席は6月17日(火)から販売開始。例年早々に完売してしまう人気ぶりです。
レーザーや音楽との連動、特殊演出を正面から堪能できる特等席は、齊藤さんも「ぜひおすすめしたい」と話します。
飲食の持ち込みも自由で、家族連れにも安心のスポットです。

ゆったりと観賞できる有料観覧席。正面からの演出を存分に楽しめます

暮らしてわかる「ちょうどいい小田原」

移住者である齊藤さん自身も、小田原の暮らしやすさを実感しているひとり。
 

「新鮮な魚が安く手に入り、自然も豊かで、首都圏へのアクセスも便利。温暖な気候で雪もほとんど降らず、子育て環境としても安心です。“ちょうどいい暮らし”が小田原にはあります」


観光から移住へ、興味を持つ人も少なくありません。
実際、花火大会を訪れてまちの空気感に魅せられ、のちに移住するケースもあるそうです。

「まずは気軽に足を運んで、観光からはじまる“小田原での暮らし”を想像してみてください」と齊藤さんも話します。

未来へ続く、世代を超えた夏の物語

「メッセージ花火のプロポーズで結ばれたカップルが、数年後に子どもと一緒にまた花火を観に来る。そんな世代を超えて愛される花火大会になってほしい。」
 

齊藤さんの言葉の奥には、花火大会が単なる一夜限りのイベントではなく、人々の人生の節目や思い出を紡ぐ“物語の舞台”になっていることが感じられます。

夏の夜空に咲く大輪の花火は、それぞれの家族にとっても、まちにとっても、かけがえのない一瞬を重ね続けているのです。

今も、これから先も。
このまちの花火大会は、変わらない願いとともに夜空を彩り続けます。

今年の夏は、酒匂川のほとりで、小田原というまちの空気を味わいながら、“ここで暮らす”という未来に思いを巡らせてみませんか?

子どもたちの目に映るのは、きっと忘れられない夏の夜。

【第36回 小田原酒匂川花火大会 開催概要】

  • 開催日:2025年8月2日(土)18:30〜

  • 打上数:約10,000発

  • 会場:酒匂川スポーツ広場(小田原市寿町5丁目付近)

  • アクセス:
    【電車】鴨宮駅南口から徒歩15分、小田原駅から徒歩約25分
    【バス】小田原駅から城東車庫行きバスで今井停留所下車、徒歩5分、またはバス「寿町五丁目」下車すぐ

  • 駐車場:なし

  • 問い合わせ:小田原市観光協会(0465-20-4192)

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