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レポート

2025.04.18

「奥小田原」で叶える心地よい暮らし — 箱根板橋の魅力とは?

スライド

小田原市の中でも、歴史と自然が調和し、独特の魅力を持つ「箱根板橋」。

「箱根」と聞くと、都心から少し離れた温泉地を想像するかもしれません。
ですが、箱根板橋駅は小田原市内にある駅で箱根登山線で、小田原駅からわずか1駅・電車で約3分、徒歩でも小田原城から約15分というアクセスの良さが魅力の場所です。地図で見ると、小田原市街地のすぐ西側、箱根の玄関口に位置しています。そこには、小田原城周辺のにぎやかなエリアとは異なり、落ち着いた雰囲気の中で、歴史ある街並みや文化が息づいています。

今回は、このエリアで暮らし、商いを営む 3 人のキーパーソンに集まっていただき、「箱根板橋の魅力」「暮らしやすさ」「地域とのつながり」などについて語り合ってもらいました。

今回お話を伺ったのは…

飯山 淳二さん
地域を愛する喫茶店オーナー/元・小田原市役所観光課/地元・鴨宮出身/人が集まる場をつくることが喜び

小田原市役所の観光課に勤めていた頃から、地域イベントや看板設置の仕事を通じて板橋エリアと深く関わるように。もともと地元・鴨宮で商売をしたいという思いを持っていたが、ご縁があり、この大好きな板橋の地で喫茶店をオープン。地域の人々が気軽に集まり、温かいつながりが生まれる場所をつくることに喜びを感じている。
千葉 亜由美さん
北欧照明に魅せられた店主/デンマークでの暮らしを経て、日本に北欧の灯りを届ける/元会社員からの転身

もともとは都内で会社員として働いていたが、デンマークの照明の美しさに魅了され、2年間現地で暮らすことに。帰国後、北欧照明の専門店を開くことを決意し、最初は秦野でお店を構える。より良い場所を探していたところ、不動産屋さんに紹介されたのが、現在の店舗である元・杉崎製麺所。もともとこのエリアには馴染みがなかったが、建物に一目惚れし、「ここしかない!」と直感し移転を決めた。
勝俣 宏一さん
小田原ガイド協会会長/箱根・仙石原生まれ/板橋在住30年以上/地域の歴史と文化を伝える観光ガイド

生まれは箱根・仙石原。東京でサラリーマンとして働いた後、妻の母の介護をきっかけに小田原へ戻る。板橋には約45年以上暮らしており、地元の歴史や文化に深く関わる存在に。現在は小田原ガイド協会の会長として、観光ガイドの活動を行い、特に歴史の深い板橋エリアの文化財やお祭りにも積極的に携わっている。

小田原への移住を考えている方にとって、箱根板橋はどんな場所なのか?
 

「住む視点」「働く視点」「地域のつながり」をキーワードに、箱根板橋の魅力を深掘り していきます。

まずは自己紹介をお願いします!

オダワラボ編集部

今日はよろしくお願いします。

まず最初に、皆さんの自己紹介をお願いします。それぞれ、どのような経緯で箱根板橋と関わるようになったのかもお聞かせください。

飯山さん

私はもともと小田原市役所に勤めていました。

観光課にいた頃に、板橋エリアの地域イベントや看板設置の仕事を通じて、この地域に関わる機会が多かったんです。

元々地元は鴨宮で、商売をやりたい気持ちもあったのですが、縁あってここで喫茶店を開くことになりました。

もともと好きだった地域なので、こうして板橋で店を開けたことはとても嬉しいですね。

千葉さん

私はもともと都内で会社員をしていましたが、デンマークの照明に魅了されて、2 年間デンマークで暮らしました。

帰国後、北欧照明の専門店をやりたいと思い、最初は秦野でお店を構えていたんですが、より良い場所を探していたところ、たまたま不動産屋さんに紹介されたのが、現在のお店がある元・杉崎製麺所でした。

もともとこのエリアのことはよく知らなかったのですが、建物に一目惚れして『ここしかない!』と決めました。

勝俣さん

この地域にいると、過去から受け継がれてきたものが今も息づいているのを強く感じます。

たとえば、年に何度か開かれるお祭りは、何十年、あるいは何百年ものあいだ変わらないリズムで行われていて、その存在が暮らしの一部として根づいています。

そんなふうに、歴史が日常に自然と溶け込んでいる風景に、深い魅力を感じています。

歴史と文化が息づく「箱根板橋」

「日常の中に、積み重ねられた歴史がある」

オダワラボ編集部

ありがとうございます。

皆さんのプロフィールをお聞きすると、皆さんそれぞれ、異なる形で板橋エリアと関わるようになっているなと思いました。
ぜひ様々な視点からお聞きできればと思いますが、まず、このエリアの魅力はどんなところにあると感じていますか?

千葉さん

このエリアは、歴史が積み重なって今がある、というのをすごく感じます。

例えば、お祭りが年に何回かあって、何十年、何百年も変わらないリズムで行われている。

日常の中に、当たり前のように歴史が溶け込んでいるのが素敵だなと思います。

飯山さん

それは本当にそうですね。

小田原全体で見ると、「地元の良さをよく知らない」という人が意外と多いんですが、板橋の人は自分たちの地域の歴史をよく知っていて、誇りを持っている人が多い。

みんな板橋のことをよく知っていて、地域の歴史や文化を自然と語り継いでいるんです。

観光客向けに派手なPRをするわけではないけれど、そこがまた奥ゆかしい魅力になっていますね。

勝俣さん

確かに、板橋の人は地元のことを大切にしている人が多いですね。

特にお祭りは、地域のつながりを強くする大きな要素になっています。

例えば、居神神社の例大祭では、お神輿を担いで急な参道を駆け上がる「宮入り」が見ものなんですよ。
こうした伝統行事が、地域の結びつきを強くしているんです。

また、板橋は四季を感じることが身近にできます。板橋の紅葉の楽しみ方は、箱根のように山全体が赤く染まるのではなく、寺院や庭園ごとに異なる彩りを楽しむものなんです。

松永記念館の紅葉、香林寺の萩、居神神社の銀杏。歩いているだけで四季を感じられる街ですね。

オダワラボ編集部

歴史を「観光資源」として消費するのではなく、住民の暮らしの中で受け継がれる文化がある。
それが、箱根板橋エリアの魅力なんですね。
松永記念館・老欅荘の紅葉
古稀庵

暮らしやすさ抜群!「箱根板橋」の生活環境

「生活に必要なものはすべて揃う」

オダワラボ編集部

歴史だけでなく、実際に住む上での暮らしやすさも気になるところです。
このエリアの生活環境についても教えてください。

勝俣さん

板橋はスーパーや病院など生活に必要な施設がそろっていて、日常の買い物には困りません。

スーパーの小田原百貨店パントリーは、夜 10 時まで営業しているので便利ですよ。

特にお刺身の鮮度が良くて、箱根方面や市内の他のエリアからもわざわざ買いに来る人がいるくらいです。

飯山さん

コンビニはないですが、スーパーが夜10時まで開いているので、日常生活には全く問題ないですね。

むしろ、24 時間営業のコンビニがないことで、街全体が落ち着いた雰囲気になっているのがいいところかもしれません。

それに、電車のアクセスが良く、小田原駅まで歩いて行ける距離なのも魅力です。

千葉さん

私は都内からの移住でしたが、ここに移住して驚いたのが、車がなくても生活ができることです。

駅が近く、小田原駅まで 20 分ほど歩けば新幹線にも乗れる。都内へのアクセスも良好なので、リモートワークをしながら時々東京へ行くような暮らし方も可能ですね。

自然にも囲まれているし、すごくバランスがいいエリアだと思います。

オダワラボ編集部

その他にも病院や歯科医院もあるとの話があり、万が一のときにも安心だなと思いました。
「都会の便利さ」と「地方の落ち着き」を両立できるエリアなんですね。

地域とつながる「食」と「人」

「地元の人に愛されるお店が多い」

オダワラボ編集部

では、このエリアの飲食店や食文化についてもお聞きしたいです。
おすすめのお店や、地域の食に関する魅力を教えてください。

勝俣さん

このエリアには、町中華や京料理の店、居酒屋など、地元の人に愛されるお店がいくつもあります。
特に「和佳」の京料理は丁寧な仕事をされていて美味しいですよ。

飯山さん

町中華やラーメン屋など、最初はちょっと入りにくいかもしれませんが、2〜3 回行けばすぐに顔を覚えてくれるんです。

地元の人が自然とつながっていく、そんな空気感があるのが魅力ですね。

そして、地元の人たちが気軽に立ち寄れるお店が多いですね。
私のお店「KURA」も、地元の人が「ちょっとお茶飲ませて」と気軽に立ち寄れる場所になれたらと思っています。

千葉さん

私は移住してきたばかりのとき、まだ知り合いも少なかったのですが、お店を通じて地域の人と話す機会が増えました。

お客さん同士が自然と会話をするような空間が生まれるのも、このエリアならではの温かさだと思います。

私の店でも、お客さん同士が自然と会話を始めることがよくあります。
地域のつながりを感じられる街ですね。

オダワラボ編集部

なるほど。
地元の飲食店は、単なる「食べる場所」ではなく、人と人がつながる場でもあるんですね。
箱根板橋の交流の場ともなっている薬膳喫茶KURA。今回お話していただいた場所でもある。
KURAでは箱根板橋のまち歩きMAPも配布しているそう。

歴史的建物を活かした商いの魅力

「建物が持つストーリーをつなぐ」

オダワラボ編集部

飯山さんと千葉さんは、それぞれ歴史ある建物を活用してお店を営んでいますよね。
このエリアで商売をすることの魅力や可能性について、ぜひお聞かせください。

千葉さん

私の店「Nordisk Lys」がある建物は、杉崎製麺所という製麺工場でした。

だから、最初にここを見た時に『この場所には歴史がある』と感じて、ぜひここで店をやりたいと思ったんです。
もともと古民家と北欧デザインは相性が良いので、このエリアならではの魅力を伝えられると思いました。

飯山さん

私の店「KURA」も、元々は左官職人さんが住んでいた家だったんです。

昔の職人の技術が詰め込まれた建物で、欄間や書院造りの美しさが特徴的なんですよ。
せっかくこういう場所で商売をするなら、建物の魅力も一緒に伝えたいと思っています。

お客さんにも、「ここって昔どういう建物だったんですか?」ってよく聞かれますね。

オダワラボ編集部

箱根板橋では、単に「新しいお店を作る」のではなく、建物が持つストーリーを大切にしながら過去と現在をつなぐ視点が大切なんですね。
「薬膳喫茶KURA」時代を超えたノスタルジックな雰囲気楽しめる。照明は千葉さんの「Nordisk Lys」で選んだものも。

「Nordisk Lys」 優しい明かりに寄せられて、地域の交流の場にもなっている。

地域に溶け込む方法とは?

「地域の人と自然に関わることが大切」

オダワラボ編集部

移住者の方が地域に溶け込むにはどうすればいいでしょうか?
お祭りやイベントに参加すると良い、というお話がありましたが、他に何かアドバイスはありますか?

勝俣さん

やっぱり、お祭りは一番の近道ですね。

5月の「居神神社例大祭」では、地域の人がみんなで神輿を担いだり、山車を引いたりします。
新しく移住してきた人も、一緒に参加することで自然と顔見知りになれるんです。

飯山さん

先ほどお話にも出ましたが、私のおすすめは地元のお店に通うことですね。

町中華やラーメン屋に何度か行けば、自然と店主や常連さんと話す機会が増えます。
最初はちょっと勇気がいるかもしれないけど、2〜3 回通えば「あの人最近よく来るな」って覚えてもらえるようになりますよ。

千葉さん

私のお店でも、お客さん同士が会話を始めることがよくあります。

例えば、「この照明、素敵ですね」と誰かが言うと、そこから話が広がっていく。
そういう日常の中の小さな交流を大切にすると、自然と地域に溶け込めるんじゃないかなと思います。

オダワラボ編集部

移住者が地域に馴染むには、「地域の人と話すこと」や「お祭り・イベントに参加すること」が自然に人とつながるコツなんですね。

未来の「箱根板橋」に期待すること

「この街の歴史を生かしながら、新たな魅力を加えていく」

オダワラボ編集部

このエリアがこれからどのようになっていってほしいか、皆さんの思いを教えてください。

飯山さん

この街には、まだ活用されていない歴史的建物がたくさんあります。

そうした建物を、住む場所やお店として活用する人が増えれば、より魅力的なエリアになると思っています。

私は、鎌倉の小町通りのような観光地化は望んでいなくて、落ち着いた雰囲気を保ちつつ、良いものを知る人に訪れてもらえる場所になってほしいですね。

千葉さん

私もこの建物をずっと大切に使いながら、もっと多くの人に北欧照明の魅力を知ってもらいたいです。

歴史のある建物と、私が扱っている北欧デザインがすごく相性が良いので、そういう新しい組み合わせの提案を続けていきたいですね。

勝俣さん

私は、板橋が「住んでいて気持ちのいい街」であり続けることが大切だと思っています。

お花を植えたり、ごみ拾いをしたり、そんな小さなことの積み重ねが、街の魅力を作っていくんですよね。

オダワラボ編集部

これからの箱根板橋は、「歴史を大切にしながら、新しい魅力を加えていく街」として発展していきそうですね。

「箱根板橋」を一言で表すなら?

オダワラボ編集部

それでは、最後に「箱根板橋」を一言で表すとどのような言葉になるでしょうか。

飯山さん

「奥小田原」

小田原の中心部よりも少し奥にある、落ち着いた歴史のあるエリアという意味で「奥小田原」という表現がしっくりくると思います。

千葉さん

「マイペースでいられる街」

一日一日をちゃんと積み重ねながら暮らせる場所。
都会のような慌ただしさがなくて、自分のペースで生活できる街です。

勝俣さん

「心地いい場所」

小田原用水が流れ、緑が豊かで、歴史が息づく場所。ここに住んでいると、なんだか心が落ち着くんですよね。

オダワラボ編集部

ありがとうございました。
今日は様々な角度からの箱根板橋の魅力を知ることができました。

最後に

「箱根板橋で叶う、豊かな暮らし」

箱根板橋は、「都会の便利さ」と「地方の落ち着き」がバランスよく共存する街

歴史を大切にしながらも、新しい文化を取り入れながら発展を続けています。移住を考えている方にとって、「自然に囲まれた落ち着いた環境で暮らしたい」「地域の人と温かいつながりを持ちたい」という方にはぴったりのエリアです。

ぜひ、一度足を運んでみて、「奥小田原」としての箱根板橋の魅力を感じてみてください。

今回登場したお店はこちら

DATA
「薬膳喫茶KURA」
神奈川県小田原市板橋649
営業 : 月、木~日: 09:00~17:00 (ドリンクL.O. 16:30)
HP:https://kura-odawara.owst.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/kura.odawara?igsh=aDdoaTBkd3NtZTN0

DATA
「Nordisk Lys」
神奈川県小田原市板橋597
営業 : 木~日(11:00 - 17:00)
HP:https://nordisklys.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/nordisklys?igsh=MWRpYWMxbWNsd3pkaQ==

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