レポート
小田原の仕事事情、気になるアレコレ聞いてきました!

オダワラボでは移住希望者の方の相談を行っていますが、よく聞かれるのが、仕事に関するこんな声です。
「小田原で仕事は見つかるの?」
「東京に比べて給与はどのくらい?」
「転職したいけれど、何から始めたらいい?」
暮らしの土台となる“仕事”。
安心して移住を検討するには、この疑問にきちんと向き合うことが欠かせません。
そこで、今回はハローワーク小田原の所長・白戸さんへのインタビューをもとに、小田原の求人の傾向や働き方の選択肢、利用できる支援制度までを幅広くご紹介。
移住前にぜひ知っておきたい「小田原の仕事事情」を、ギュッとまとめました。
小田原の求人傾向は? ー 福祉・観光・製造業が主軸
まずは、小田原で「どんな仕事が多いのか」を知るところから始めましょう。
小田原市と足柄下郡(箱根町・湯河原町・真鶴町)を管轄するハローワーク小田原の白戸所長によれば、市内で特に求人数が多いのは「医療・福祉」分野。これは神奈川県全体の傾向でもありますが、小田原でも介護職などのニーズが年々高まっているそうです。
次いで多いのが「卸売・小売業」。観光地として知られる小田原では、お土産店や駅ナカ店舗など、観光と地元の暮らしを支える販売業が活発です。
そして意外に思われるかもしれませんが、「製造業」も根強い人気があります。
「小田原には大きな工場がいくつかあり、製造関連の求人も多いです」と白戸さん。
一方で、希望者の多い事務職は競争率が高め。運輸業や物流関連の求人はやや少なめです。
地域の産業構造に合った職種選びが、転職成功のカギになりそうです。

給与は都内より少し低め。でも、暮らしのコストも大きく違う
「東京と比べて収入が下がるのでは?」
移住を考えるとき、多くの人が気にするのが給与水準です。
この点について、白戸さんはこう話します。
「たとえば新宿エリアと比べると、小田原市の平均給与は約20%ほど低くなります。町田と比べても、およそ7%ほど下がります」
一見すると厳しく感じるかもしれませんが、実は暮らし全体で見たとき、その差は少し違ったものになります。
小田原の家賃や生活費は、都内よりも抑えめ。
たとえば 1LDK の家賃相場は、都心の約半分程度になるケースもあります。支出が少なくなる分、生活にゆとりが生まれやすくなります。「自然が身近で、子育てがしやすくなった」と話す移住者の方も多く、経済的な余裕と心の余白の両方が手に入りやすい環境です。
さらに、小田原の魅力は“東京との近さ”。
新幹線を使えば小田原駅から東京駅まで約35分。JR 東海道線でも約 80 分でアクセス可能です。
小田原に暮らしながら、東京で働く。そんなライフスタイルも、十分に現実的な選択肢です。
地元企業が求めるのは、「人柄」や「意欲」
企業がどんな人材を求めているのか。
就職・転職を考えるうえで、気になるポイントのひとつです。
この点について白戸さんはこう語ります。
「やる気や積極性などの“人柄”を重視する企業が多いです。もちろんスキルや経験も大切ですが、地域密着型の企業が多いため、『長く働きたい』『地域で頑張りたい』という姿勢が評価されやすい傾向にあります」
実際、小田原では“地元志向”の人が多く、企業側も「地域のために働く」ことを大切にしています。こうした価値観に共感できる人にとって、小田原の企業は“自分らしく働ける場所”になるかもしれません。
ハローワークは“堅い”だけじゃない。もっと気軽に使える場所へ

転職や再就職を考えるとき、頼りになるのがハローワークです。
とはいえ、
「なんだか堅そう」
「若い人には向いてなさそう」
「行くのにちょっと勇気がいる」
そんなイメージを持っている人も多いかもしれません。
でも、実際に取材に行くと、ハローワークはもっと身近で、親身に相談できる場所でした。 白戸さんはこう話します。
「最近は情報が多すぎて、自分の方向性に迷ってしまう人が増えています。そんなときこそ、 対面で相談できるハローワークを活用してほしい。まずは気軽に足を運んでみてください」
また、ハローワーク小田原では、就職支援セミナーや面接会、履歴書の書き方、模擬面接など、実践的なサポートが充実しています。
「書類の添削はもちろん、オンライン面接でのカメラの目線や照明の工夫など、細かいとこ ろまで丁寧にアドバイスします。自己PRが苦手という方にも、一人ひとりに合った対応を心がけています」
求人票だけではわからない企業の雰囲気や職場の様子など、職員が実際に企業を訪問して得た“生の情報”も教えてくれます。また、全国のハローワークと連携しているため、今住んでいる地域のハローワークでも小田原の求人を見ながら相談することができます。

起業という選択も。小田原ではたらく、あなたらしい道
小田原の魅力のひとつは、“働き方の自由度”が高いこと。
正社員と非正規雇用の求人はおおよそ半々で、パート・アルバイト・契約社員・短時間勤務・副業など、ライフスタイルに合わせた選択肢が豊富にあります。さらに、都心へのアクセス の良さを活かして、東京の会社に勤めながら小田原に暮らす。そんな“ハイブリッドな働き方”も、現実的な選択肢です。
そして近年では、「自分で仕事をつくる」という道を選ぶ人も増えています。
小田原市では起業・創業支援にも力を入れており、補助金・融資制度、起業セミナー、専門相談員による経営アドバイスなど、地元でのチャレンジを後押しする環境が整っています。
中でも注目なのが、クリエイティブワークスペース「ARUYO ODAWARA」。
ここは、起業家や起業を目指す人、事業者が集い、ビジネスや地域文化の“種”を育てる場所です。アイデア出しのブレストサポートや、ビジネス相談窓口、イベントを通じた地域とのつながりの場もあり、交流の中から新しい事業やコラボレーションが生まれています。
実際に、ARUYO からは地域に根ざしたビジネスがいくつも誕生しています。
「東京では埋もれてしまうようなアイデアが、小田原ではちゃんと評価される」 そう語る移住起業者の声もあります。


地元企業との出会いの場も、SNS で

小田原市では、UIJ ターン希望者に向けて、地元企業と求職者のマッチングにも力を入れています。
その取り組みの一つが、Instagram アカウント「odawara_uij_work(@odawara_uij_work)」 の運用です。
市内企業をビジュアルとともに紹介し、実際に働く社員の声や職場の雰囲気が伝わるよう工夫されています。
求人票だけでは伝わりづらい“企業の顔”が見えると好評で、特に若い世代の求職者とのマッチングに効果を発揮しています。スマホひとつで地元企業と出会える、そんな手軽な仕組みも、小田原らしい魅力のひとつです。
最後に
都会での忙しさに疲れたとき、満員電車の中でふと「この働き方でいいのかな」と感じたことはありませんか?
もっと自然のそばで、自分のペースで、家族との時間を大切にしながら働けたら。
小田原は、そんな思いにそっと寄り添うまちです。
ここには、福祉・観光・製造などの地元企業での仕事から、都市部にリモートで勤める働き方、さらには起業やフリーランスといった道まで、多様な選択肢があります。
そして何より、「自分らしく働く」ことを温かく受け入れてくれる空気があります。
“働く”を見つめ直すことは、“暮らし方”を見つめ直すこと。
小田原には、人生をすこしやさしく、ちょっと豊かにしてくれる余白があります。
「このままでいいのかな」と感じたときは、一度立ち止まって、小田原での暮らしを想像してみてください。
そんなあなたに、白戸所長からメッセージをいただきました。
「仕事探しに悩んでいたら、まずは一歩、踏み出してみてください。相談からでも大丈夫。 小田原には、きっとあなたの力を必要としている場所があります」
あなたが探していた働き方は、案外すぐ近くにあるのかもしれません。
今回取材したハローワーク小田原

ハローワーク小田原
神奈川県小田原市栄町 1-1-15 ミナカ小田原9階
開庁時間:8:30〜17:15(平日)
定休日:土・日・祝・年末年始(12月29日~1月3日)
電話番号:0465-23-8609
HP:https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-hellowork/list/hw-odawara.html