レポート
2015.03.01
今回のレポートは、平成26(2014)年度から行われている『小田原Laboratory.』に参加したメンバーが、活動の中で個人的に感じた小田原をエッセイとしてまとめたものをご紹介します。
『小田原Laboratory.』とは、工学院大学建築学部都市デザイン研究室、都市デザイン・マネジメント研究会、小田原市職員自主研究グループ『こうめこ』の三者による協働型プロジェクトで、小田原のまちに豊かな暮らしの風景をひとつでも多く創出することを目的に活動をしています。
『小田原Laboratory.』とは、工学院大学建築学部都市デザイン研究室、都市デザイン・マネジメント研究会、小田原市職員自主研究グループ『こうめこ』の三者による協働型プロジェクトで、小田原のまちに豊かな暮らしの風景をひとつでも多く創出することを目的に活動をしています。
オダワラエッセイ「海」
トンネルを抜けると、そこは海
小田原駅をあとにし市街地を抜け南へ向かう。やがて国道1号線に突き当たり、歩道橋で横断する。低い建物がだんだんと増えてきた。海の気配を感じながらかまぼこ通りを歩いていると、いくつかの小さなトンネルが現れる。そのうちのひとつに私は導かれるようにトンネルへ吸い込まれていった。中は生臭く、少し息苦しい。卵が腐ったようなにおいがする。次第に波の音が大きくなってきた。
「海だ。」
光の先を目指し無我夢中で歩く。
「トンネルを抜けると、そこは海であった」
「海だ。」
光の先を目指し無我夢中で歩く。
「トンネルを抜けると、そこは海であった」
目の前には広大な相模湾が広がり、海上には伊豆大島が浮かぶ。浜辺には波の音と子どもの声が響いている。初めてこの場所を訪れた時に見た海の青さは今でも鮮明に覚えている。
「相模湾はこんなに青かったのか」
私は生まれも育ちも藤沢で相模湾は比較的身近な存在であったのだが、『小田原Laboratory.』の活動で小田原の海を見た時に、相模湾に対する印象が大きく変わった。
まず、湘南の海は水が汚い。同じ相模湾でも、こんなにも違うのかと感じるほどだ。湘南の海はどちらかというと藍色という印象を持っているが、小田原の海は青い。透明度が大きく異なる。また毎年夏になると決まって湘南海岸がメディアなどで取り上げられるのだが、「よくあの汚い水を求めて人が集まるものだ」としばしば思う。ここで勘違いしないでほしいのは、決して湘南の海が嫌いではないということだ。湘南の海には、江ノ島や江ノ電などの観光的要素があり、海としてのブランドが確立されている。あくまでもそれらの観光要素を除き、海だけで見てみると小田原が圧勝だということだ。
「相模湾はこんなに青かったのか」
私は生まれも育ちも藤沢で相模湾は比較的身近な存在であったのだが、『小田原Laboratory.』の活動で小田原の海を見た時に、相模湾に対する印象が大きく変わった。
まず、湘南の海は水が汚い。同じ相模湾でも、こんなにも違うのかと感じるほどだ。湘南の海はどちらかというと藍色という印象を持っているが、小田原の海は青い。透明度が大きく異なる。また毎年夏になると決まって湘南海岸がメディアなどで取り上げられるのだが、「よくあの汚い水を求めて人が集まるものだ」としばしば思う。ここで勘違いしないでほしいのは、決して湘南の海が嫌いではないということだ。湘南の海には、江ノ島や江ノ電などの観光的要素があり、海としてのブランドが確立されている。あくまでもそれらの観光要素を除き、海だけで見てみると小田原が圧勝だということだ。
小田原の海は、童心に帰れる場所
海岸沿いに走る西湘バイパス
では小田原の海にブランド性はないのか?私はそうは思わない。他の海にはない、いくつもの要素を小田原の海は持っている。そのひとつが西湘バイパスの存在だ。このバイパスは市街地と海を分断している。言い換えると海が独立した空間となっているのだ。その影響か、観光客と思われる人影は見られず、住民たちのプライベートビーチのように利用されているようでもある。
また、題目にあるとおり、バイパスの高架があり、多数のトンネルが存在する。暗闇の先には何があるのだろう。子どものころに抱いた冒険心をくすぐるものがあった。小田原の海は、童心に帰れる場所でもあるのだ。
また、題目にあるとおり、バイパスの高架があり、多数のトンネルが存在する。暗闇の先には何があるのだろう。子どものころに抱いた冒険心をくすぐるものがあった。小田原の海は、童心に帰れる場所でもあるのだ。
住んでいる人がもっと日常的に利用するようになれば
これらのブランドを確立することにより、多くの観光客を呼び込みたいわけではない。不特定多数の人々が訪れれば、たちまち湘南の海のように藍色の海へと変化するであろう。
私が描く小田原の海の姿は、自分のように偶然小田原の海を見つけた人がその魅力に惹かれ、実際に住み、そして日常的に利用するようになること。そうすれば、海に愛着をもって利用する人が次第に増え、湘南の海とはまた違ったブランドをもつ海になるのではないかと考えている。
【Writer 小田原Laboratory.メンバー 小林優太(工学院大学建築学部都市デザイン研究室)】
私が描く小田原の海の姿は、自分のように偶然小田原の海を見つけた人がその魅力に惹かれ、実際に住み、そして日常的に利用するようになること。そうすれば、海に愛着をもって利用する人が次第に増え、湘南の海とはまた違ったブランドをもつ海になるのではないかと考えている。
【Writer 小田原Laboratory.メンバー 小林優太(工学院大学建築学部都市デザイン研究室)】
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