小田原発、ライフスタイルを考えるメディア

レポート

2020.03.02

グローカルなゲストハウスを目指して『PLUM HOSTEL』

かつて宿場町として栄えた小田原。
その小田原に今、いわゆる「ゲストハウス」と呼ばれる宿泊施設が、じわじわと増えています。
「ゲストハウス」のイメージといえば、

  • リーズナブルな料金
  • 外国人客の多い、インターナショナルな雰囲気
  • スタッフや宿泊客、地域の人との交流

といったところだと思いますが、
一軒一軒を見てみると、特徴も仕組みも千差万別!
それぞれにオリジナリティあふれるスタイルで、小田原を訪れたお客さんを魅了しています。
彼ら彼女らは、なぜ「ゲストハウス」を小田原でやろうと思ったのか?
どういう思いで、そのスタイルをつくりあげたのか?
日々どうお客さんとふれあい、今後、もっとどうしていたいと思っているのか?
苦労していることも含めて、お話をうかがってきました。

Plum hostel

うらちょう商店街、PLUM HOSTEL前。看板横の階段を上がった2Fに同ゲストハウスがある。

うらちょう商店街、PLUM HOSTEL前。看板横の階段を上がった2Fに同ゲストハウスがある。

[創業] 2016年
[場所] うらちょう商店街
[部屋] ドミトリー
[予約] 予約サイト/電話/メール
[特徴]
・外国人ゲスト率70%の“国際性”と、それによる日本人ゲストの“国際体験”
・日本のローカルな生活や人々を見せる、“自転車ツアー”
[コンセプト・やりたいこと]
『グローカル』=世界の目線(グローバル)で、“日本”や“小田原”を紹介する(ローカル)
オーナーの梅宮さん(写真右)。「Local Experieence Japan」の安齊さん(写真左)と共に。
オーナーの梅宮さん(写真右)。「Local Experieence Japan」の安齊さん(写真左)と共に。

ゲストハウスをやろうと思ったきっかけ&経緯って?

「私、4年間アメリカの大学に行きまして、その時に日本のことをもっと発信できるような、世界に伝えられるような仕事をしたいなと思ったのが一番最初かなあ」と当時を振り返る、オーナーの梅宮勇人(うめみや はやと)さん。
大学を卒業して日本に帰国後、そういうことができそうに思えた会社に勤めたものの、その機会はなく、10年経った頃、その“何か”を自分でやろうと決意、実現する形として『ゲストハウス』を思いついたのだそう。
「この形だったら自分1人で始められるかなあと思って」

梅宮さんは横浜出身。事業を始める時も、漠然と神奈川県内でと思っていました。
そして実際に商売をする土地として検討した際、“箱根”や“小田原”に強い魅力を感じたのだそうです。
「特に小田原は全然ゆかりはなかったんですけど、来てみたら自然も多いし、街の歴史も深くて、楽しい場所だし。来てみたいな、と」
小田原なら、外国人のゲストにも色々紹介することができる。
「ここなら自分のやりたいことが実現できる、と選んだ感じです」

今の場所を選んだ理由、魅力は?

夕方のうらちょう商店街。

夕方のうらちょう商店街。

「PLUM HOSTEL」があるのは、地元の人が行き交う街といった雰囲気の“うらちょう商店街”。
ここを選んだ理由としては、「正直なところ、駅からの近さや家賃の安さ、商売的な部分が大きかったかもしれない」と笑います。
けれど、“観光観光していないところを紹介したい”という思いは、梅宮さんの中にずっとあったそうです。
「ここは本当の日本人、リアルな日本人の生活が見える場所なんです」
居酒屋が建ち並ぶ、いわゆる夜の街でもある“うらちょう”。
「日本人は“勤勉で”とか、まあ真面目なイメージがあるんですけど、ここでは酔っ払いがうさを晴らしてたりする(笑)」
むしろそういう部分、日本人のいい面も悪い面も見てほしいのだと話します。

「PLUM HOSTEL」らしさって?

入ってすぐにある、手書きの英語インフォメーションボード。
入ってすぐにある、手書きの英語インフォメーションボード。
〈国際性〉
宿泊客の70%が外国からやってくるという「PLUM HOSTEL」。
そもそもの開業の動機が“日本のことを世界に、外国人に紹介、発信する”ことということ
もあり、接客やナビゲーションなど、外国人ゲストへの心づかいに満ちています。
また、日本人客にも、“国際的な体験”ができる場になればと思っているそう。
自転車ツアー風景。(梅宮さん提供)

自転車ツアー風景。(梅宮さん提供)

自転車ツアー風景。(梅宮さん提供)

自転車ツアー風景。(梅宮さん提供)

〈自転車ツアー〉
特に海外から小田原に訪れた観光客にはおなじみの“自転車ツアー”。
現在は、ゲストハウスとは別事業「Local Experieence Japan」として展開、安齊亮さんと共に活動しています。
観光地よりも、川沿いをのぼっていき、“日本の田舎”や“地元の人の生活”に触れるコースが定番&人気というのも、「PLUM HOSTEL」ならではかもしれません。

ゲストハウスדグローカル”

昔ラグビーをやっていたという梅宮さん。ワールドカップで、日本代表チームのキーワードとなっていた「グローカル」という言葉がとても心に残ったそうです。
“グローバル”と“ローカル”をかけ合わせた言葉である、「グローカル」。
ロフトのくつろぎスペースでの交流風景。(梅宮さん提供)

ロフトのくつろぎスペースでの交流風景。(梅宮さん提供)

日本代表チームでは、外国人選手と日本人選手をまとめるために使われた言葉でした。
「グローバルな戦術や体力と、ローカルな日本人ならではの特色を組み合わせたチームをつくっていこうってアイデアがあったみたいです」
この「グローカル」という言葉が、現在自分がやっていること、やりたいと思っていることに近い、と話します。
「世界の目線(グローバル)で、『日本』や『小田原』を紹介する(ローカル)、っていうのを常に意識してます」
世界からここはどう見えているのか。どういう場所なのか。
「小田原は、日本で言うとあまりない場所だと思ってます」と梅宮さん。
東京から近く、新幹線で行けるような場所で、これだけ自然もあり歴史もあり、お城やそういったものがある場所は、ほとんどないのだそう。
「それがすごい小田原のよさで、それを際立たせることを自分は今やってるつもりです」

課題、苦労してることって?

また最近は、観光業の“社会情勢や景気に左右されやすい”部分に頭を悩ませることが多いと話します。
特に宿泊客の80%が箱根に行くのが目的という中、箱根の影響はとても大きいのだそう。
「(2019年)5月に箱根大涌谷の噴火レベルが上がった影響があって、10月にまた台風(19号)。
1年にこんなにあったのは、私がここをオープンしてから初めてだったので」日々スタンダードに同じことをしていればいい訳ではなく、今後は、そういった時の危機管理についても意識していかなければと考えているそうです。

今後の展望&方向性

今やっている「日本のローカルな“生活”や“人々”を見せる」活動を、もっと多くの人に体験してもらえるよう広げていきたい、と語る梅宮さん。
ツアーのコースを増やすことや、ガイドを雇ってツアー回数を増やすこと、拡張していくだけのポテンシャルがあると考えています。
「もちろんツアーもなんですけど、宿を通してもそれができたらいいなあと思ってます。もっと多くの人に体験してもらいたい、ということですかね」
受付のすぐ横がロフトスペース。色々な言語のナビゲーションが掲示されている。

受付のすぐ横がロフトスペース。色々な言語のナビゲーションが掲示されている。

カウンターには、「Local Experieence Japan」のご案内が置かれている。

カウンターには、「Local Experieence Japan」のご案内が置かれている。

寝室はドミトリー(相部屋)形式。デッドスペースも有効活用。

寝室はドミトリー(相部屋)形式。デッドスペースも有効活用。

ロフトの壁いっぱいの、今まで宿泊したゲストを撮影した写真やメッセージ。
ロフトの壁いっぱいの、今まで宿泊したゲストを撮影した写真やメッセージ。
「PLUM HOSTEL」
[住所] 小田原市栄町3−4−17 2F-B
[電話] 080-7699-0404
[HP] http://www.plumhostel.jp/
[予約サイト] booking.com / expedia / Airbnb など
オダワラボライター目黒さん

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