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レポート

2022.07.26

定置網漁船に乗りました!

2022年6月某日深夜、小田原漁港から出港する「定置網」漁業を行う漁船にオダワラボ編集部の職員が乗船し、小田原の産業の要の1つである「漁業」の中心である「定置網」について、実際にどのような作業をしているのか見学しました。

乗船の結果、定置網で獲れた魚はまさかの…?

定置網のスケジュール

漁師さんの朝は早い

小田原市の水産海浜課の事務所に集合した後に乗船するというスケジュールでしたが、事務所への集合時間は深夜0時30分。

深夜の0時台の漁港と聞くと、暗くて少し怖いのではと思う方もいるかもしれませんが、市場、そして漁港ではすでに働いている人が沢山いて、灯りもついていました。

事務所でライフジャケットを着用し、船のところまで行くと、続々と漁師さんたちが集まってきました。時刻は深夜1時過ぎ。
漁師さんの1日はこの時間から始まるんですね。

夜の海へ出港する漁船

いよいよ出発です。

ゆっくりと進む船から見える夜の港の淡く光る灯りは、さながら工場夜景のようです。

ブルーウェイブリッジをくぐり、「小田原提灯」を横目に、真っ暗な海の沖合へ進みます。

この日の波は穏やかで、そこまで大きな揺れは感じませんでした。徐々に船の速度があがり、港の光が離れていきます。

小田原のまちも、国道の街灯がかすかに見えるくらいまで遠くなり、いよいよ自分がどの位置にいるのかわからなくなりました。

2艘の船は、夜の海の上を進んでいきます。暗闇の中でも迷わずに目的地へ向かうことができる漁師さんの航海術に驚嘆しながら、船は目的地付近へ着きました。

定置網のスポット

そもそも「定置網」というのは、どのような漁業なのでしょうか?

こちらを見ていただくのがわかりやすいかもしれません。
知る-小田原の漁業 | 小田原の魚(小田原の魚ブランド化・消費拡大協議会公式サイト)

沖合に大きな網の罠を仕掛け、そこに入り込んだ魚を、2艘の漁船で挟み、網をかけて漁獲します。

仕掛けに到着してからは、2艘の船の協力作業になります。

時刻は深夜2時過ぎ、1艘の船は罠の付近で停まり、いよいよ漁師さんたちの作業が始まります。

あうんの呼吸で行われる網の設置作業

漁師さんたちは完全分業・協力体制で、皆さん配置につきそれぞれの作業を行います。

誰かから指示があるわけでもなく、それぞれの作業をすごい速さで行います。

まさに、神業。あうんの呼吸とはこの事で、何の作業をしているのか私が理解する前にどんどん次の作業に移っていきます。

大声で指示をする人がいるわけでもなく、でも、それぞれ必要最低限のコミュニケーションを取りながら、たまに笑顔も見せながら作業をしています。

あっという間に作業は完了したようで、離れて停まっていた2艘の船が徐々に近づいていきます。

いよいよ網で漁獲する時がやってきました。

大量の魚! でも…?

近づいた船の間の網が徐々に巻き上げられていき、水面に大量の魚が見えます。

また別の網を網の中にいれて、すくうような形で魚を集め、船の上の水槽に運びます。水槽に入った魚は、そこからまた別の水槽に分けられます。

漁獲量の多さに驚いていると、水産海浜課の職員と漁師さんが次のように話していました。

「今日はあまり多くないですね」
「そうですね。これから米神のほうに行きます」

今回のこの場所での漁獲量は普段の漁獲量に比べると少ないとのことでした。

時刻は、日の出にはまだ遠い深夜3時。もう一つ別の定置網スポットに向かうため、再び暗闇の中を進みます。

もう一つの仕掛け場所で出会った魚。それは…

次のスポットは、小田原の中心市街地から車で10分ぐらいにある「米神」地区の沖合のスポットです。

2艘の船は、さきほどのポイントでの作業と同じ作業を行います。

すでに出港から2時間以上経過していますが、その作業スピードが落ちる事はありません。

網を巻き上げていくと、誰かが言いました。

「デカいのが2匹いるぞ!」

よく見てみると沢山の魚の中に、その何十倍も大きな魚がいました。

大きな2匹のサメが網の中で泳いでいたのです。

漁師さんvs巨大サメ

他の魚のように、サメは網ですくって水槽というわけにはいきません。

船の上にあげるためには、サメの尻尾に縄をつけて、クレーンで持ち上げてとどめを刺す必要があります。
まずは、縄を尻尾にかける作業ですが、何せ相手は人間の2~3倍の大きさもあるサメです。
何人もの漁師さんがサメをモリで押さえながら、縄を尻尾にかけます。

最後に、サメは縄をかけられてクレーンであげられました。
サメが釣られる様子

朝日と「提灯」が迎えてくれる

米神での作業が終わると、時刻は早朝4時過ぎです。

競りに向けての作業を行うため停まって水揚げの作業をしていた船は、小田原漁港へ戻るため動き始めます。

空が少しずつ青くなっていき、小田原の海・山・まちが、朝日に照らされていきます。

この日はあいにく曇りの天気でしたが、雲がなければ、とても綺麗な朝日が見られる事と思います。

小田原漁港に戻ってくると、「小田原提灯」が迎えてくれます。

いつも陸から見ていた「小田原提灯」は、何十年間も毎日、こうやって漁から帰ってきた漁師さんを迎えていたということに改めて気がつきました。

「提灯」には、その先の旅路の安全を願う「魔よけ」のような意味合いもあったと言われます。

小田原漁港の「小田原提灯」はこうやって、漁師さんたちの安全を守っていたんですね。

新しい朝

早朝4時半ごろ、小田原漁港に到着。
6月ということもあり、あたりは大分明るくなっています。

新しい朝のはじまりです。

すでに市場は競りに向けての準備中。すごい活気です。
競り関係者向けの売店など、お昼の市場とは違うお店もあったりします。

船に乗っていた漁師さんたちは、競りに向けて、漁獲した魚を種類ごとに分けていきます。

こうやって漁獲され、その後にお店にならんだ魚が、最後食卓に並びます。

いつも何気なく食べていた魚の裏には、何人もの人の努力が隠されていたのでした。

小田原市水産業プロモーション動画

藍坊主×小田原水産

小田原市水産海浜課が制作する動画のYoutubeチャンネル「おだわらおさかなチャンネル」にて公開されているこの動画。なんと!BGMの楽曲として、小田原出身バンド藍坊主さんの曲を使用しています!この動画のために特別に許可をいただきました!

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