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レポート

2019.08.19

【仕事レポート】小田原のことならおまかせ。地元の人も観光客も集う、海近のコミュニティカフェ

小田原には、古くから、また新しくも、
まちのいろいろなところに、"あたりまえ"の存在として、「カフェ」が佇んでいます。
おしゃれなカフェ文化とは少し違う、のんびりとした、おだやかな空間。
地元の人の憩いの場所にもなっている「カフェ」。
もちろん、〇〇がおいしい、雰囲気がいい、イベントが楽しめる、etc
特徴はそれぞれにありますが、
共通してるのは、こだわりやカタチからではなく、
やってくるお客さんがお店の雰囲気をつくっているような、
独特の空気感かもしれません。
そんな小田原のカフェのオーナーに、
どんなきっかけでお店を始めたのか?
日々どうお客さんとふれあい、どういう思いで運営しているのか?
お話をうかがってきました

【ケントスコーヒー】

ケントスコーヒー外観。夏はウッドデッキの利用率も高い。(平井さん提供)

ケントスコーヒー外観。夏はウッドデッキの利用率も高い。(平井さん提供)

[創業]1986年(現店舗は2018年から)
[場所]かまぼこ通り、御幸の浜近く
[特徴]
・喫茶店歴40年のベテランオーナーが運営する、自家焙煎珈琲店
・小田原のガイドもおまかせ、の隠れ家系コミュニティカフェ

カフェをやろうと思ったきっかけ&経緯って?

オーナーの平井さん。喫茶店歴40年のベテランオーナー。
オーナーの平井さん。喫茶店歴40年のベテランオーナー。
店内にひっそりと置かれているかつての写真。

店内にひっそりと置かれているかつての写真。


「モテると思ったから」

冗談めかして笑う平井丈夫さんの、小田原での"カフェ・喫茶店経営歴"は、なんと40年ほど。
現在のお店で、支店も含めて7ヶ所目(今は御幸の浜近くの「ケントスコーヒー」のみ)という、ベテランオーナーです。
そもそもは学生時代、満員電車でのサラリーマンの疲れ切った姿に、「自分もこうなるのかな」と冷めた気持ちになってしまったことがきっかけだった、と話します。
実際に喫茶店や土産物店でバイトをしていたこともあり、"商売をすることの面白さ"を感じてもいました。

~平井さんカフェヒストリー~

「小田原珈琲館」オリジナルTシャツ。ロゴは平井さんによるデザイン。(平井さん提供)

「小田原珈琲館」オリジナルTシャツ。ロゴは平井さんによるデザイン。(平井さん提供)

1977年、仲間4人で「小田原珈琲館」という喫茶店を開業。

"自家焙煎珈琲店"も"若者の遊び場としてのコミュニティカフェ"も、当時の小田原では初めての試みだったそう!
同時期オープンのファミリーレストランと同様の"深夜2時までの営業"も、当時としてはかなり珍しいものでした。
「始めたら、えらい大変だったよ。人が人を呼ぶじゃないけど、あそこに行くと誰かいる、そこで一晩中くっちゃべってるみたいな」
小田原駅西口近くにあった「ケントスコーヒー」。(平井さん提供)

小田原駅西口近くにあった「ケントスコーヒー」。(平井さん提供)

一種の若者カルチャーでもあった「小田原珈琲館」を終えて、
1986年に平井さんが開業したのが、現在の店舗と同名でもある「ケントスコーヒー」でした。

小田原駅西口近く、今の城山郵便局のあたり。
「ケントス」の由来は、息子さん"けんと"さんの名前から。
「けんとくんのコーヒー屋さん。と言って、息子は全くやる気ないんだけど(笑)」
お寺の喫茶店での様子。当時の平井さん。(平井さん提供)

お寺の喫茶店での様子。当時の平井さん。(平井さん提供)

またその頃、お寺の境内にある喫茶店のオープンにも携わることに。

どちらかというとあまり普通のところではやりたくない、と笑う平井さん。

「あんな奥まったところでカフェなんかできるのか、みたいなことを言われるのが、
逆に快感だったりして」
その後、かつて「小田原珈琲館」があった場所に、新たに「けんとす珈琲」を開業しました。

2017年、「NPO法人(平成17年認定)小田原まちづくり応援団」の理事長を退任し、スタッフに任せていた「けんとす珈琲」に戻った平井さんでしたが、建物の著しい老朽化のため、移転を余儀なくされることに。
「小田原まちづくり応援団」が管理する「清閑亭」のカフェ。

「小田原まちづくり応援団」が管理する「清閑亭」のカフェ。

東町にあった「けんとす珈琲」。雰囲気は「小田原珈琲館」時代とほとんど変わらない。(平井さん提供)

東町にあった「けんとす珈琲」。雰囲気は「小田原珈琲館」時代とほとんど変わらない。(平井さん提供)

新天地として選ばれたのが、かまぼこ通り、御幸の浜の近くにある戸建ての一階の「ケントスコーヒー」、現在のお店でした。
「こんなとこで商売になんの?って言う人は多々ありましたけど」と平井さん、"普通のところではやりたくない"オーナーの本領発揮といったところかもしれません。
「鶏と卵じゃないけど、どっちが先かなんだよね。人がいるから店出すのか、こんなとこでも店出しとけば人が来るっていう」新天地として選ばれたのが、かまぼこ通り、御幸の浜の近くにある戸建ての一階の「ケントスコーヒー」、現在のお店でした。
 

隠れ家系観光コミュニティカフェ

アイスコーヒーはテイクアウトして海に持っていく人も多い。

アイスコーヒーはテイクアウトして海に持っていく人も多い。

ここに来て何をするかは自分の中でわかってた、と語る平井さん。
お城から離れてわざわざ海の近くまで来たお客さんと、そこにあるカフェ、という"接点"。

「ただコーヒー飲んでもらって帰るんじゃなくて、話をして。小田原やっぱりいいところだよねとか、住むといいですよっつって。それが大事じゃない」
"まち歩き""まちセッション""カフェ運営"を主な活動とする「小田原まちセッションズ」の拠点ともなっている「ケントスコーヒー」。
駅前ではできないようなことができる空間としてのカフェ。
小田原の色々な街の紹介や、遊び方の提案。
かつて地元の若者に居場所を提供していた"コミュニティカフェ"の先駆者は、今は、観光客にも居心地のいい"新しい場所"をつくろうとしているようにも見えます。
 
「店の中ではジャズしか流さない。ジャズが好きだから(笑)」

「店の中ではジャズしか流さない。ジャズが好きだから(笑)」

店内入ってすぐにあるフライヤーコーナー。

店内入ってすぐにあるフライヤーコーナー。

カフェ×小田原の海

500円で借りられるハンモック。(平井さん提供)

500円で借りられるハンモック。(平井さん提供)

無料で借りられるサンダル&長ぐつ。(平井さん提供)

無料で借りられるサンダル&長ぐつ。(平井さん提供)

毎朝アップされる海の動画(平井さんInstagramより)。

毎朝アップされる海の動画(平井さんInstagramより)。

また、平井さんの日課は「毎朝、海に行って動画を撮ること」。

"今日の小田原の海"として、それを毎日Instagramにアップしています。

「ケントスコーヒー」ならではの発信方法と言えるかもしれません。

今後の展望は…リラックスして、楽しくやりたい(笑)

"石を積む遊び"には平井さん自身がハマっている。(平井さん提供)

"石を積む遊び"には平井さん自身がハマっている。(平井さん提供)

20代で喫茶店を始め、40代の頃に様々なことをやり、20年くらい"まちづくり"
にも関わってきたという平井さん、
「もうちょっとこれからは、今までとは違う生き方というか、活動の仕方をしなくちゃなと思い始めて」。
肩の力を抜き、リラックスしてやりたい、と話します。

「まさしく今やってるのがそういうことで。ハンモックいっぱい借りに来る人がいるとかできてくれば、全然いいんじゃない?」
店の前で海で拾った石を積みながら、訪れたお客さんと話しながら、今日も、ゆったりとした小田原の時間を味わっています。
 
もちろん"まち歩きガイド"も大切な活動。(平井さん提供)

もちろん"まち歩きガイド"も大切な活動。(平井さん提供)

海を楽しむアイテムはここで調達。

海を楽しむアイテムはここで調達。

海はすぐそこ。(平井さん提供)

海はすぐそこ。(平井さん提供)

本屋にもなりたかったという平井さん、本棚には蔵書がギッシリ。

本屋にもなりたかったという平井さん、本棚には蔵書がギッシリ。

"自家焙煎珈琲店"が平井さんのこだわり。「始めた頃は小田原にまだ一軒もなかったんだ」(平井さん提供)

"自家焙煎珈琲店"が平井さんのこだわり。「始めた頃は小田原にまだ一軒もなかったんだ」(平井さん提供)

ウッドデッキに並ぶハンモックの袋。

ウッドデッキに並ぶハンモックの袋。

好きなコーヒーと音楽と本と海に囲まれた時間。仕事もはかどる。

好きなコーヒーと音楽と本と海に囲まれた時間。仕事もはかどる。

「ケントスコーヒー」
[住所] 小田原市本町3丁目4-21
[電話] 0465-25-4491(「小田原まちセッションズ」共通)
[時間] 10:30~19:30
[HP] http://om-sessions.com/(「小田原まちセッションズ」共通)
[Instagram]https://www.instagram.com/kentos1953/
オダワラボライター 目黒みどり

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