移住
小田原移住で見つけた「深呼吸できる暮らし」【須田さん夫婦・移住】

今回ご紹介するのは、2024年10月に川崎から小田原へ移住した須田さん夫婦(雄太さん、安莉さん)の暮らし。釣りをきっかけに訪れた街で、「肩の力を抜いて暮らせる」毎日を見つけました。
自然に囲まれ、地域の人々との交流や豊かな食材にも恵まれた日々。休日には釣りやサイクリング、富士山を眺めながらのんびり過ごす、そんな暮らしの様子をお届けします。
釣りをきっかけに見つけた「小田原」という選択肢
「私たち、夫婦そろって釣りが大好きなんです」
移住のきっかけを、笑顔でそう話してくれたお二人。
川崎に暮らしていた頃は、電車で釣りに出かけるまでに1〜2時間かかり、交通費もかかるうえ、思うような釣果がない日もありました。小さな不満が少しずつ積み重なり、心のどこかで「もっと海に近く、魚が豊富な場所で暮らしたい」と思い始めます。
そこで、全国規模で移住先を探しはじめました。九州なども候補に挙がりましたが、最終的に選んだのは小田原。釣りのしやすさに加え、新幹線で京都の実家にアクセスしやすいこと、以前訪れたときの「いい街だな」という印象が決め手になりました。

都会の便利さと引き換えに感じた「都会疲れ」
移住を考えたもう一つの理由は「都会疲れ」です。
安莉さんは振り返ります。
「時間の流れが速く感じたり、夜でも街が明るすぎて自然を感じにくかったり…。地元では夜になると星が見えて静かでリラックスできたのに、川崎では日常のテンポが少し早く、慌ただしさを感じることもありました」
便利さはあるものの、自然に触れる機会が少ないことや落ち着かない空気感が、暮らしの中で少しずつ負担に。そんな経験が「自然を感じながら時間の流れがゆっくりなところで暮らしたい」という思いを強め、小田原に目を向けるきっかけになったのです。
移住フェアから3か月で、理想の小田原暮らしへ
そんなお二人の移住ストーリーは、思わぬスピードで動き出します。
2024年7月、軽い気持ちで東京の有楽町で開催された「ふるさと回帰支援センター」の移住フェアに参加。
そこで神奈川県の担当者から小田原をすすめられ、西湘足柄移住コンシェルジュが実施する「移住まち歩き」に参加したことで、一気に小田原移住が具体的なものになりました。案内してくれたコンシェルジュのコアゼさんの丁寧なガイドで街の空気を肌で感じ、「ここで暮らしたい」と心から実感したそうです。
そこからは物件探しもスムーズに進みました。不動産屋をいくつか回った後、広さや雰囲気が理想にぴったりの物件に出会い、フェアからわずか3か月後の10月末に移住を果たすことに。まさにトントン拍子で移住が進み、二人にとって理想のスタートとなりました。

小田急線沿線エリアで見つけた、静かな住環境
現在のお住まいは、小田急線・蛍田駅周辺。
「最初は小田原駅近くや鴨宮駅周辺も見てみたのですが、にぎやかさや利便性がある一方で、私たちが求めていた落ち着きとは少し違いました。そんなとき、不動産屋さんに案内してもらった蛍田の雰囲気がぴったりだったんです」
駅からほど近い場所でありながら、住宅街には静けさがあり、散歩をすれば緑や酒匂川のせせらぎに出会える。お二人は「自然が身近にあって、時間がゆったり流れているのを感じた」と振り返ります。移住前の慌ただしい日々から一転、暮らしの中に心地よい余白が生まれたといいます。

地元の人のあたたかさと、日々の食の楽しみ
小田原での暮らしについて、お二人は「不満はほとんどない」と口をそろえます。
特に印象的なのは地域の人々の温かさ。
「移住者を受け入れてくれる雰囲気があります。城下町だった歴史もあってか、よそ者感を感じないんです」と安莉さん。初対面でも気負わず交流できる、心地よい距離感があります。
さらに、食の豊かさも魅力のひとつ。
地元のスーパーや直売所では、新鮮な魚や野菜が手に入り、干物店に足を運べば地元ならではの味も楽しめます。
雄太さんは「以前は“安ければいい”と選んでいましたが、今は“今日の小松菜はすごく美味しいな”とか、食材の味をしっかりと味わうことが増えました」と語ります。
車がなくても快適に暮らせるまち
移住を検討している方からよく聞かれる質問のひとつが「車がないと不便では?」というもの。
須田さん夫婦は小田原移住後、車を持たずに生活しています。
「街がコンパクトにまとまっている小田原では、スーパーや直売所、コンビニなどが自転車圏内に揃っていて、大きな買い物はネットショッピングで対応できます。車がなくても不便を感じないので、気軽に自転車で出かけられるのが快適です」と雄太さん。
日々の移動は自転車と公共交通で十分。むしろ身軽に動けることで、暮らしがシンプルになった実感があるそうです。
オダワラボ編集部で作成した「小田原暮らしマップ」では、スーパーやコンビニなど、日常に必要な場所がひと目でわかります。
日常の中にある自然の贅沢
生活の便利さに加えて、須田さん夫婦が小田原暮らしで気に入っているのは、すぐそばにある自然。
安莉さんは「冬は雪化粧、夏に向けて雪が溶けていく様子まで、富士山の四季を間近に感じられるのが贅沢です」と話します。酒匂川の土手で望む富士山や、買い物帰りに目に入る景色もお気に入りとのこと。
釣りやサイクリングも楽しみのひとつ。国府津の海岸で釣りをした際には、なんと75cmのシーバスを釣り上げたことも。クーラーボックスがなかったため、レジャーシートとビニール袋で電車に持ち帰ったという思い出話も笑顔で語ってくれました。


小田原で広がる交流の輪
須田さん夫婦が小田原での暮らしで強く印象に残っているのは、地域との交流です。
きっかけとなったのは、小田原駅近くのゲストハウス「ティピーレコーズイン」。移住まち歩きを案内してくれたコアゼさんが運営しており、カフェスペースは地域の交流拠点にもなっています。
「最初に『ティピーレコーズイン』で出会いがあったのが大きかったです。その後の交流も自然に広がっていきました」と雄太さん。さらに「小田原は人とのつながりが自然に生まれやすい場所。うまくいかなくても過程のひとつと考えて、まず動いてみるのが大事だと思います」とも話します。
安莉さんも「一歩踏み出せば、向こうから声をかけてもらえることも多くて関係が築きやすいです」と笑顔で語ります。
日常の小さな行動から交流が広がり、人とのつながりが暮らしを豊かにしてくれる。それが、小田原ならではの魅力です。

思っているよりもあたたかい
これから小田原への移住を検討している人に向けて、メッセージをいただきました。
雄太さんはこう話します。
「思っているよりもあたたかいよ、ですね。特に都内から来る人にはそう感じると思います。そして、移住するぞ!と身構えなくても大丈夫です。想像している通りのあたたかさがありますから、何も恐れずに来てほしいですね」
安莉さんは、移住の心構えについてもこう語ります。
「私たちも小田原が合わなかったらまた引っ越せばいい、くらいの気持ちで、とりあえず行ってみようという感覚でした。結果的に、今ではしっかり根を張って暮らしています笑」
また、実際に小田原を訪れて街の雰囲気を体験することの大切さも伝えます。
「観光ではなく、暮らす目線で見てみるのがいいと思います」と安莉さん。雄太さんも「私たちも訪れたときの雰囲気が後押しになりました」と話し、移住先としての小田原の魅力を実感したそうです。
小田原を一言で表すと?
インタビューの最後に「小田原を一言で表すと?」と伺うと、雄太さんは迷わず「温和」と答えました。
「人が親切で、初対面でも優しく接してくれるところが多いです。都会ではピリピリした雰囲気があって疲れることも多いですが、小田原ではそういう感覚はほとんどありません」と語ります。
「ピリッとした人と温かい人に分かれると思いますが、小田原ではまったくピリッとした感覚を感じません。これが小田原の持つ温和な空気感だと思っています」と雄太さん。
安莉さんも、小田原での暮らしを通して心からリラックスできるようになったと話します。
「深呼吸できる街ですね。私はもともと人見知りで壁を作るタイプでした。移住当初も無意識に壁を作っていましたが、小田原の人は壁を作らずに自然に話しかけてくれるので、自分も壁を作らなくていいと感じるようになりました。肩の力を抜いて交流できるんです」。
お二人の言葉からは、小田原ならではの人の温かさと、初めて訪れても安心して暮らせる街の雰囲気が伝わってきます。ここでは肩の力を抜き、ゆったりと深呼吸しながら暮らせる。そんな暮らしの魅力が、小田原にはあるのです。

最後に
小田原での暮らしは、都会の慌ただしさから離れ、自然や地域の温かさを感じながら肩の力を抜いて過ごせる環境です。豊かな食材や便利な街並み、地域の人々との交流も魅力のひとつ。
須田さん夫婦にとって、小田原への移住は「暮らしやすさ」と「心のゆとり」を手に入れる選択でした。
休日には釣りやサイクリング、富士山を眺める時間を楽しみ、地域とのつながりも自然に広がっています。
「想像以上にあたたかいまちです。まずは一歩を踏み出し、暮らす目線で体感してみてください」
小田原には、そんな安心感と心地よさがあります。
今回登場したお店はこちら

「Tipy records inn photon」
神奈川県小田原市栄町2-5-30
営業 : 月~日: 13:00~詳細な営業日はinstagramから
Instagram:@photon_bytipy