小田原発、ライフスタイルを考えるメディア

移住

2019.06.24

【子育てレポート】きっかけは「息子に最高の田舎を作ってやりたかった」から。

私は、11回目の移住で小田原の地にたどり着きました。
今は、小田原を中心にヘルシーフレンチ塾「ル・シャボテ」をはじめとする料理の講師をしています。
移住した当時は小学校1年生だった息子も今は大学生。小田原での暮らしは、14年目に突入しました。
小田原での暮らしについて、皆さんに何かイメージできるものを与えることができれば幸いです。

料理が教えてくれたこと。

フランス滞在中にマダムを囲んで。

フランス滞在中にマダムを囲んで。

小学生の頃から、外食した時にカウンターで調理をするお店の方を見るのが大好きで、家にあった家計簿に掲載されていたレシピや姉が集めていた料理カードから料理を作っていました。おせちやおはぎ、沢庵漬などの母の季節仕事の手伝いが楽しかったのを覚えています。
けれども、中学・高校時代は、姉が大学生になり家から離れ、父も単身赴任。そして仕事に忙しく、厳しい母との二人の食事は衝突ばかり。独りでの食事も多く、家族団欒がなくなりました。私にとって、食卓が辛い時期で、家の中に居場所がないと感じた思春期でした。
家を出たい!という気持ちが強くなり、大学進学を機に北陸を離れ神奈川へ。寮での生活はストレスが多く、過食症に。一人暮らしを始めてからダイエットを始め、しばらくして友人や今の夫、夫の友人に食事を振る舞うことが多くなり、誰かのために食事を作るのが楽しくなりました。
マダムと猫と。

マダムと猫と。

結婚後、友人や夫の仕事場の方々におもてなしをすることが多かったのですが、料理を仕事にすると考えたきっかけは、夫と2年間住んだパリ生活です。夫が勉強のためにパリで無償で仕事をすることになり、まだ子供のいなかった私は、近所に住む料理上手なマダムから家庭料理を習いました。渡仏前に2年間学んだフランス語は片言程度。料理本を1冊訳し、料理用語を覚え、マダムと一緒にマルシェやエピスリー(食料品店)で買い物、メニューに合わせてワインを選び、一緒に料理を作り、食後のおしゃべり。マダムのキッチンは一坪あるかどうかのとっても小さな空間でしたが、そんな場所から愛情たっぷりのお料理が出来上がり、型にとらわれないフランス人の生活を楽しむ姿を感じることもできました。帰国後は日本にいらっしゃる外国の方に日本の家庭料理を教えたい!そう思うようになりました。フランスの子供達や親子関係を見て、フランス人のような子育てがしたいと思っていたところ、帰国後すぐに妊娠。臨月近くまで国内の料理教室に通いました。
新浦安にて子供が2歳の頃、あるきっかけで、フランス料理のサークル講師を任されることになり、講師としてスタート。料理の幅を広げるべく、東京会館クッキングスクールに通い、上級まで終了。気持ちは日本の家庭料理からフランス料理に移っていました。

移住のきっかけは息子のふとした日常から。

海は毎日違う表情を見せてくれます。

海は毎日違う表情を見せてくれます。

依頼をいただくお仕事が、おもてなし料理、パーティー料理、雑誌のページと増えていきましたが、料理は誰のために作るのか、自分が教える料理は家族の健康を考えたものなのか・・・、自問自答するようになりました。もともと地元民が少ない新しい街で、すぐにコミュニティを作らなくてはいけない、時間をかけずに仲良くなる、おしゃれに生活している方が多く、自分が何者なのか、わからなくなる雰囲気を感じていました。幼稚園で先生がお店屋さんごっこをさせようとすると、子供達が想像できるのは、スーパーの売り場だけ。息子の通う小学校に一戸建ての子供がいない・・・。
その頃、たまたま郵便受けに入っていたフリーの新聞に、「日本雑穀協会設立、雑穀エキスパート資格試験」のアナウンスを見つけ、すぐに受講、資格取得しました。雑穀の勉強は、生き方も考え直すターニングポイントになりました。時期同じ頃、夫が仕事場を変えたい、と小田原に職場を変えました。住居は逗子から海岸線を順番に探し、結局、小田原が一番落ち着き、田舎に住む不安もありましたが、新生活をスタートさせたのが13年前です。
新浦安の教室を継続しながら、小田原でもスタートしましたが、思うように生徒さんが集まりませんでした。
住まいが買い物に不便なところだったので、生活クラブ生協の組合員になり、そこで様々な講座を開催していることを知り、食のコーディネーターの講座を受講、神奈川県内での食の講座を請け負うことになりました。
雑穀アドバイザーの資格があったので、雑穀の講座を開催したいと思っていましたが、依頼をいただくのは、お弁当、時短、離乳食、おもてなし、フランス料理、盛り付けやコーディネート・・・。依頼をいただくたびにその分野を勉強し直し、どんな依頼も受けられるようになりました。
産直は午前中にすぐに品切れてしまうものも。

産直は午前中にすぐに品切れてしまうものも。

山の幸・海の幸の新鮮な食材が安価で手に入ります。

山の幸・海の幸の新鮮な食材が安価で手に入ります。

家庭料理にワインを気軽に愉しめる企画を。

家庭料理にワインを気軽に愉しめる企画を。

おだあし主催の田んぼアート

おだあし主催の田んぼアート

小田原のお米屋さん(志村米穀店)が雑穀を扱っているということを知り、HPを拝見すると、すでに雑穀の講座を開催されていました。出番はないかな?と思っていたその頃、生活クラブ生協の講座開催をきっかけに、近隣自治体での講座をスタートしていて、その帰りにふらっと、雑穀を買いに志村米穀店に立ち寄りました。お店の方といろんなお話をした後、実は雑穀を仕事にしているので買いに来ました、とお伝えしたら、奥から志村さんがひょい!と顔を出し、雑穀の先生ですか〜〜!と。
もう講座はされているから遠慮してた、と話すと、今は講義だけで調理が苦手な先生なので、料理を教えて欲しいと。志村さんとはそこで繋がりました。志村さん主催で2016年12月にワインと楽しむ雑穀料理の講座を当時緑町にあった小田原ガスエコリアのキッチンスタジオをお借りして開催。その講座をきっかけに小田原ガスエコリアの講座がスタートしました。
その後志村さんの紹介で、小田原・足柄異業種交流会(略:おだあし)主催の田んぼアートのお手伝い、翌年春の新年会の参加がきっかけでたくさんの方とのつながりが生まれ、開講の場が増えるなど地元での活動が増えました。
今は地元の飲食店で店長をされていたソムリエとコラボし、ワイン会を開催するなど、そこからも多くの素敵な出会いがあり、実現したい夢が溢れているところです。

小田原の環境を最大に活用して子育てを楽しんだ日々。

春の土筆とり。こんなたくさんの土筆を見れるものここならでは。

春の土筆とり。こんなたくさんの土筆を見れるものここならでは。

息子に最高の田舎を作ってやりたかったと言っていた夫。子供との時間は小学校5年生までが大事だよ、と。
引っ越しをしてから、市内を中心にいろいろなところに出かけました。一番長く続いた家族のイベントは、サイクリング。最初は住まいのある酒匂からサイクリングロードを走って開成町まで。それがどんどん距離が伸び、中学生になる頃は丹沢湖まで。高校生になると、高校で自転車部を発足させ、山中湖までレースに行ったりしていました。
そして、トレッキングは秋から寒い時期に。箱根板橋駅から小田原ヒルトンまで、湯河原駅から万葉公園、城山公園、真鶴三ツ石まで。箱根、小田原駅から石垣山。小田原市内はくまなく歩きまわりました。夏はカブトムシスポットが幾つかあるので、早朝に獲りに行ったり、御幸の浜での海水浴。中学生の頃は釣りにハマり、友人と早朝から出かけて楽しんでいました。
春の楽しみは、小田原城山周辺を歩き、一緒に土筆摘み。中学3年生まで続き、その後のはかま取りも一緒に。
春休みや夏休みの1日は息子と2人で御殿場線に乗って、アウトレットまで足を延ばすこともありました。
子育ての手が離れた今、休日は、日帰りで湯河原や熱海への温泉地へ行ったり、夫のオートバイで箱根の美術館や足柄に出かけることもあります。美術館は単に鑑賞だけでなく、併設のレストランで朝食を楽しめたりもします。休日でも混雑する前に、自宅に戻ることができるのでとっても有意義な時間です。
夫婦2人での小田原城まで10㎞のランニングはこれから先もずっと続けていきたいと思っています。
酒匂のサイクリングロード。四季の花を楽しみながら。

酒匂のサイクリングロード。四季の花を楽しみながら。

根府川は、柑橘の宝庫。冬の収穫を楽しみにしていました。

根府川は、柑橘の宝庫。冬の収穫を楽しみにしていました。

夏の定番は御幸の浜で海水浴。昔は花火大会もここでした。

夏の定番は御幸の浜で海水浴。昔は花火大会もここでした。

カブトムシスポットを発見し、早朝から出かけることもしばしば。

カブトムシスポットを発見し、早朝から出かけることもしばしば。

これからの活動を楽しみに。

現在は、日本雑穀アドバイザーとして、協会の講座講師や審査員のほか雑誌や企業へのレシピ提供などをしています。
昨年までは新百合ケ丘でおもてなし料理教室、栢山の助産院で「取り分け離乳食教室」を開催していました。現在は範囲を絞り、小田原、秦野、大井町での活動が多いですが、出張料理教室で県西以外や都内で開催することもあります。車を運転する機会のない私でも複数ある鉄道路線のおかげで東京方面にも負担なく日々飛びまわることができます。
まだまだチャレンジしたいことはたくさんありますが、最近は、家族で囲む食卓を笑顔にしたい、パパの出番を増やしたい、フレンチをもっと気軽に楽しんでほしいという願いから、パパ向けのフレンチ塾もはじめたところです。
これからも、地元の食材を生かしながらみんなが楽しめる場づくりを提案していけるよう、アイデアを一つずつ形にしていこうと思っています。
一番好きな場所は自宅のキッチン。

一番好きな場所は自宅のキッチン。

盛り付けにもこだわります。

盛り付けにもこだわります。

※掲載の写真はすべて安間さん提供です。

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