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移住

2022.01.04

気負わなくてもよい"移住っぽい"移住ができるまち【五十嵐さん・移住】

「移住する」というのは、どんな人にとっても大きな決断です。
いろいろな手続きもさることながら、心理的な負荷もかかるライフイベントです。
でも、「小田原は"移住"というより、”半分移住”、”移住っぽい”という言葉が近いかもしれません」と語るのは、2020年の冬に小田原暮らしをはじめた五十嵐さん。

「最初は小田原で暮らすことに対してあまり乗り気ではなくて…」と語る五十嵐さんの体験を伺ってみました

きっかけは夫の東京への転勤

小田原に来る前は京都に5年ほど住んでいました。
夫の東京への転勤が決まり「東京への通勤圏内で」、新しく住む場所を考えました。
京都では比叡山のふもとの自然も多いエリアに住み、自然も文化も身近な地方都市の住みやすさを実感していました。子供を育てるにもそういうところがいいと思って、似たような環境を探しました。

私自身、最初は小田原で暮らすことに対してあまり乗り気ではなくて、小田原に住みたいというのは、夫の強い希望だったんです。

夫は「明治時代より前にまちとして栄えていた場所が良い」とのこだわりがあって、歴史的な要素と自然、そして新幹線などの交通アクセスの良さを考えると、小田原ということになって…(笑)
それで、実際に小田原に来てみたり、物件を探し始めました。

このまちには面白い人がたくさんいる気がした

小田原について調べてみると、空き家の不動産活用やゲストハウス運営、歴史的な建物・文化の保全など面白そうなことをしているプレイヤーの方々がいて、情報発信をされていることがわかりました。
私自身、前職でまちづくりに関する仕事をしていたので、まちのいろいろな方と関わり、子どもも大人も豊かな生活ができたらいいなあと思っていました。
物件探しで小田原を訪れて、そういう方々にも会って、小田原に住んでみたら楽しい暮らしができるのではないかと思うようになりました。

物件を探したエリアは、小田原駅周辺エリアでした。

新幹線の駅が利用しやすいことと、なんとなく「移住者も多くいそうだな」という印象から、そのエリアを探しました。
住んだ後に他のエリアにも移住された方は大勢いることを知ったのですが、やはり住むまではまわりに同じ境遇の方がいるかどうかが不安でした。

物件探しは苦労しました。
ピアノを置ける賃貸物件を探していたこともあり、ずっと不動産サイトの物件の新着情報に張り付いていた感じです。
 

住みやすい環境と人

住んでみて感じたことは、「住みやすさ」です。
まず気候が良いです。夏は涼しくて、冬は暖かいです。たまに都内に出かけても「都内に比べてあったかいな」と感じます。

そして、人との距離感も住みやすさの一つではないでしょうか。

住む前は、うまく溶け込めるかという不安もありましたが、住み始めた当初からご近所の方が気さくに話しかけてくれて、自然体で受け入れてくれる感じがあり、ほっとしました。

小田原では、歩いているとたいてい知り合いに会って立ち話をしています。かといって、近所付き合いが大変というほどの狭さでもなく、人との距離感がほどよい気がします。

実際に移住や転勤で市外から来た人もたくさん住んでいて、そういう意味でも、気負うことなく生活ができています。

食が豊かになった

食が豊かになり、食文化に触れる機会も増えました。
近所には魚屋がいくつもあって、魚の種類も本当に多くて、お店の方におススメを聞いて、
その日その日で違う魚を食べるのが楽しみです。子供も魚を食べる回数が増えて、下の子は小田原ではじめて刺身を食べて今では大好物です。小学校の授業でも小田原の魚について調べる機会もあったりします。先日は小田原名物「カマス棒」の体験もしました。

他にも、野菜の収穫や稲刈り体験などでも生産者の方と直接話して、食の文化を身近に感じられるのも、これまでにはなかったことです。今年は下中玉ねぎのオーナーにも挑戦中です。

野菜や果物をもらうことも多く、買い物の頻度が移住前より減りましたね。
子どもは梅干しと湘南ゴールドにはまって、最近では自分でレシピを考えるのが楽しいようです(笑)

小田原を一言であらわすと

『移住っぽい』移住ができるまち」ですかね。

感覚的には「ちょっと遠い引っ越し」という感じでしたが、実際に住んでみると都内とは違う空気が流れていることに気がつきました。
いわゆる、田舎への「移住」という感じはないですが、「移住」の空気感は味わえる「半分移住」みたいな感じです。

「移住」というと、「絶対この地域に馴染まなきゃ!」みたいに構えてしまうこともあると思いますし、私も最初はそうでした。でも小田原は、箱根、熱海、丹沢などに小一時間でいけてしまう要所でもあり、新幹線で都内も関西方面などにもすぐに行くことができます。小田原を拠点の一つにして、他の地域も楽しめるのだという発見がありました。

それは生活や人間関係でも同じで、すべての面でどっぷりと地域と暮らすというより、複数のネットワークの中に身を置きながら、好きなことを自分のペースでできる雰囲気もあって、気持ちの上でも「半分移住」できることも住んでみて思う小田原のよさです。

「移住」というよりも、とりあえず、一回この街に来てしまうのもいいかもしれませんね。実際にいろいろな方に会うことで、生活のイメージができるところも大きいと思います。

今後やってみたいこと

移住は、自分がこれからしたいことを考える機会にもなると感じています。私自身は、引っ越しや子育てを経験して、またまちづくりや震災復興などに関わる中で、いろいろな世代の方が孤立せずに、役割を持ってつながれる場づくりをしたいと思ってきました。

住んでいるエリアは、ずっと住んできた高齢の方も多く、また私たちのように移住してきた方もいます。今はコロナ禍なので地域で知り合う機会が本当に限られていますが、地域の人が関わり合い、小田原暮らしの魅力を楽しみながら発信する場として、「おだわらワクワクプロジェクト」に取り組んでいます。

活動の拠点はここ「ゲストハウスめだか荘」(開業準備中) で、オーナーの木村さんが地域のために1階ラウンジを開放してくださっています。共感しあえる仲間とともに様々なテーマでの居場所づくり、子どもの寺子屋、地域の野菜や食材を共同購入するマルシェなどをしています。こんなことがしたい、経験を活かしてこんな役割が担えるなど、日々新しい出会いと発見があります。これからの活動がどうなっていくのだろうと楽しみです。

小田原は、自然・文化・歴史の資源が豊富なことに加えて、人やものが循環してつながっていくことを実感しながら暮らすことができるところだと思います。
まだまだ模索しながらですが、子どもたちの未来のためにも、こうした地域のつながりや循環の輪の中で、「小さくやってみる」ことを積み重ねていけたらと思っています。

1分インタビュー動画はこちら

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