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移住

2022.11.04

過去と未来、人と人とのつながりを感じることができるまち【蜂谷さん・移住】

「日中は海でボーっと潮の満ち引きを見て、夜は都内のライブハウスで生の音楽を浴びるなんてちょっと贅沢ですよね。」
小田原の自然豊かな環境とアクセスの良さを利用して東京のカルチャーを堪能している、まさに「小田原スタイル」の生活を体現している元広告制作プロダクション勤務の蜂谷さん。
小田原に巡り合ったのはまったくの偶然とのことですが、移住を決断する際には、「小田原移住を後押しする"風"が吹いていた」とのこと。蜂谷さん流の小田原の楽しみ方・印象を聞いてみました。

小田原との接点。きっかけは「ふるさと回帰フェア」

2021年夏ごろからぼんやりと地方移住を考え始め、インターネット等で少しずつ情報を集めてはいたのですが、本格的に動き始めたきっかけは10月に開催された「ふるさと回帰フェア」でした。フェスのような熱気に溢れていた広い会場には日本中から無数の自治体が集まっていて、僕もあちこちのブースで直接移住の相談を試して、興奮して山ほどカタログを持ち帰ったのを覚えています。そのときに候補地の一つとして選んだのが、小田原でした。

その後、ZOOMセミナーや現地宿泊施設への「お試し移住」などを利用し検討を重ねた結果、九州のある都市にベタ惚れし11月には決断寸前のところまで進みました。しかし、岩手出身で東京暮らし25年の自分にとって、遠く九州への移住はあまりにも唐突かもしれないと自問自答が続き、一度冷静になって考え直すことにしました。その点で、首都圏内での移住なら随分と気が楽なもので、気づいた頃には小田原が移住リストの最上位に鎮座してました。仕事のことも含め、一度住んでからその後の生き方を考えればいいやと、最終的には軽いノリで小田原に決めました。

そんなフワッとした理由で移住先を考えながら、具体的な条件として掲げたことが2つ見えて来ました。1つが「ライブや音楽イベントを気軽に観に行けること」、もう1つが「古い街並みや家で暮らしたい」という昔からの憧れでした。

1つ目については、小田原は都内に近く、特に渋谷・下北沢などライブハウスが集中する自分が通い慣れたエリアへの交通アクセスが良い点で、大きなプラスと感じました。

一方の古民家については、事前に行った情報収集や、小田原市の移住セミナーでの「古い住居は多いがすぐ住める物件は皆無」というお話から、古民家探しは移住後の次の目標と割り切って、まずは人の集まるエリアへのアクセスを優先して具体的な検討を進めました。そうしてより詳しく調べていくなかで、小田原には人との出会いが期待できる都市機能と、歴史ある街としてのポテンシャルの両方が感じられ、自分の求める条件にピッタリな街だと感じるに至りました。

小田原に来てみたら、出会う人みんなと仲良くなった

とは言っても、もともと小田原とは縁もゆかりもない自分には、住んでからのネットワーク作りが最重要と感じたので、物件探しと並行して街歩きイベントに参加するなど、「知り合いは自分の足でつくるもの」と、多少無理してでも精一杯オープンに人と接するように努めました。

その効果か、街歩きイベントで知り合ったばかりの参加者が、自分の家探しについて来ちゃってそのまま一緒に内見したり、宿泊先のゲストハウスのスタッフと意気投合して朝まで部屋飲みしたりと、行く先々で一期一会のご縁に恵まれ、気がつけば誰かと一緒に時間を忘れて楽しんでいるという出来事が続いて、何だか不思議な風が吹いているなと感じました。

「なんだこのまち?」ロールプレイングゲームのような面白さ

そんな風にしてあっという間に住む部屋も決まり、小田原での生活がはじまりました。

移住したてのしばらくの間は、以下のようなことを心がけていました。

  • 昼と夜は自炊せず、小田原のお店を日々食べ歩く
  • 「うをげん(近所の美味しい小料理屋)」には週に1度は顔を出す
  • 楽しそうなイベントや宴席にはなるべく顔を出す
  • 毎日ランニングコースを変え、自分の足で街じゅうを探索する
  • 親しい友人の仕事は時間を惜しまずどんどん手伝う
  • ライブや旅行はいつものペースで楽しむ

こうした心がけで日々を過ごした結果、ひと月も経つころには相当数の知り合いが出来て、喋っているのに相手の名前が覚えられないというのが悩みだったくらいです(笑)一回通った道はすぐに記憶できる方なので、街や道や美味しいお店もたくさん覚えましたし、初めて訪れたお店の店長がなぜか自分の事を知っていたなんて事もありました(笑)

自分で移住してみて良かったと思うことがあって。急に知らない土地にやってきて、はじめは知り合いもいないし当然怖いんですけど、だからこそ初めが肝心だと思いました。人見知りとか言ってられないぞと腹を決めてどんどん出掛けて歩き回ることで、人もお店も道も街も覚えるんですよね。そうすると、逆に自分のことも覚えてもらえる。「Aさんと知り合っていたから、Bさんと話が通じる」みたいな幸運にも恵まれたり、そうした小さい成功体験がまた次の出会いを呼んだりもして、自分でも引きが強くなってるなとか、今、風が吹いているなというのを感じました。
どんどん知り合いができて行動範囲が広がりレベルが上がっていく感じは、ロールプレイングゲームのようで純粋に楽しめました。早い段階で心の拠り所となる仲間や場所が見つかったことで、この移住者だからこその楽しさや貴重な経験が得られました。

自分はランニングを毎朝の日課にしているのですが、小田原の街は走るのも楽しいんです。東京では毎朝同じ公園ルートを走っていたのですが、小田原は海あり山あり歴史ありなので、「今朝は晴れたし海日和」とか「昨日教えてもらった古民家カフェまで」とか、日によって天気や気分でいろんなルートを選べちゃうんです。川と海の水が混ざる河口ポイントとか、水路のそばの古い建物とか、知らない道の先にある秘密の撮影スポットを見つけては寄り道してしまうので、走る距離と時間がつい延びがちなのですが(笑)

行きつけのお店「うをげん」

行きつけのお店「うをげん」

正直なところ、小田原には定住地を見つけるまでの仮住まいぐらいのつもりで来たので、将来的にはまた違う街に住む可能性もあると思います。ただ、今回の移住を決断するにあたって、自分に吹いていた「小田原移住を後押しする風」は無視できなくて、しかもまだその風は止んでもいないので、案外ずっとここにいるかもしれません。

都心に近いのにローカルな小田原の魅力

小田原のことは移住するまでほとんど知りませんでしたが、江戸よりも早く栄えた歴史ある街だけあって、通りを歩くたびに至るところでその面影を感じられて面白いです。一見なんでもないような場所にもひと昔前の空気や気配が残っていて、その静けさも含めて逆にすごく魅力的に感じます。

東京ってどこまで行っても東京で、聞いたことないような駅で降りても一晩中お店も開いていたり、何でも揃っていたりして驚くじゃないですか。その点、小田原は良くも悪くも東京とは様子が変わるし、見たことないような地魚も食べられるし、疲れたらすぐ温泉にも行けるし、5社6路線が乗り入れる鉄道網もすごく便利で、実際に住んでみて生活の中で実感する魅力がいっぱいある街だと思います。都内で遊ぶ時も23時過ぎまで終電があるので、さほど不便にも感じないですし。逆に言えば、日帰りでもちゃんとローカルを体感できる街ですよね。小田原移住をきっかけに、しばらく疎遠だった友人が遊びに来たり、連絡をもらったりすることが増えて、きっと同じ神奈川でも横浜や鎌倉だったらこうはなっていない気がします。コロナ禍で世の中自体の変化の波がやって来て、移住や地方への関心が高まったりもしていて、小田原のポテンシャルや魅力はこれからもっと多くの人に広まっていくんじゃないかっていう予感があります。

日中は海でボーっと潮の満ち引きを眺めて、夜は都内のライブハウスで音楽を浴びるなんてちょっと贅沢ですよね。都心のカルチャーや人脈との繋がりを犠牲になんかしなくても、自然や地方の恵みを感じられるので、東京を離れることをさほど怖がらずにすみました。

あとは、小田原の人たちのバイタリティとか街に対する当事者意識みたいなものにも大きく刺激を受けています。官民問わず「移住者ウェルカム」な雰囲気の広がりも感じていて。新しい人や文化を受け入れていくことで、将来の小田原を今よりもっと魅力的で住み良い街にして行こうという空気が日常的に感じられます。どの地域もそうだとは思いますが、やはり地元のことは来て見て知って褒めてほしいし、愛されたいですよね。東京ではあまり触れることのなかったそういう地元愛が、自分の中にも早くも芽生え始めている感覚も、なんだかくすぐったくも楽しいです。

蜂谷さんお気に入りの、海と川が混ざる場所
蜂谷さんお気に入り場所「川と海の水が混ざる河口」

小田原を一言であらわすと

『つながりを感じられるまち』でしょうか。

過去と未来、自然と都会、家族や生活と仕事、人と人 そういったものとのつながりを確かに感じることができるまちだと思います。

自分自身が、いろんなつながりやご縁に助けられながら前を向けていますし、今度は自分がそのつながりを生み出す番だとも感じていて、それが思いのほか気に入ってしまったこのまちでの暮らしの基盤になっている感じがします。
 

今後やっていきたいこと

やはり「古民家に住みたい」という憧れは実現したいのと、自分のフェイバリットを活かせる仕事をしてみたいので、その両方が実現できるような場所を見つけて、小田原に楽しい場所を増やして行けたらと思っています。

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