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レポート

2015.08.04

心に明かりを灯す小田原ちょうちん

まだ電気やガスのなかった時代、
月の出ていない夜は、真っ暗闇だったことでしょう。
そんな夜をほんのり照らす明かりは便利で、とても心強く、人々の暮らしを豊かにしてくれたのではないでしょうか。
小田原ちょうちん

小田原ちょうちんは、懐中電灯の原型

小田原ちょうちんが生まれたのは、江戸時代中期といわれています。
東海道を旅する人々が箱根越えに携帯しやすいよう、使わないときは蛇腹をたたんでコンパクトに収め、懐や袂にすっぽりしまえるよう工夫されました。懐中電灯の原型ともいえますね。
携帯性のほかにも工夫がこらされていて、小田原ちょうちんは、(小田原市隣接の南足柄市にある)道了尊という大雄山最乗寺のご霊木を使っているので、魔除けになり狐狸妖怪から守ってくれると信じられていました。
また、蛇腹部分の中骨の竹ひごを丸から角にしてあるので、和紙との接着面が広くはがれにくく、耐久性があります。
折りたたんだ小田原ちょうちん

折りたたんだ小田原ちょうちん

さまざまな種類がある

さまざまな種類がある

天下の険といわれた箱根の玄関口として、多くの旅人をもてなしてきた小田原ならではの逸品です。
当時は、真鍮製のものや竹で編みこんだものなど、さまざまなデザインのものがあって、携帯用だけでなく、デスクライトとしても使われていたそうで、個性的なカバーや装飾を施して使用している現代の携帯電話やスマートフォンのように、マイちょうちんとして人々に愛用されていたんでしょうね。
現在は、実用的に使うことはなくなり、市内のちょうちん屋さんも2軒になってしまいましたが、全国に広まった小田原ちょうちんを文化として残す動きもたくさんあります。

小田原の小学生は皆、マイ小田原ちょうちんを持っている

思い思いに描かれた小学生のマイちょうちん

思い思いに描かれた小学生のマイちょうちん

小田原市立の全25小学校では、小田原ちょうちん製作ボランティアの会が、小田原箱根商工会議所青年部、(一社)小田原市観光協会と協力して、毎年、ちょうちん製作教室を開催しています。
小学生が思い思いの絵を描いて作ったちょうちんは、7月末から8月初旬に「小田原ちょうちん夏まつり」の開催に合わせ、城址公園のお堀にすべて(2000個以上)が飾られた後、マイちょうちんとして子どもたちの手に帰っていきます。
また、毎月第2・第4日曜日には、なりわい交流館でちょうちん製作体験ができるほか、市内の大きなイベント時にも製作体験ブースが設けられます。
ちょうちんを製作する小学生

ちょうちんを製作する小学生

お堀に飾られた小学生のちょうちん

お堀に飾られた小学生のちょうちん

ちょうちん製作体験

ちょうちん製作体験

街なかにも、あちこちにちょうちんが

小田原駅のJR東日本改札口の上には、直径2.5m、全長5mにも及ぶ巨大な小田原ちょうちんが旅人を出迎えます。JR東海道線の発着時には「小田原ちょうちんぶらさげて~」の『お猿のかごや』のメロディが流れるようになりました。
さらに、小田原漁港には、小田原ちょうちんの形をしたユニークな灯台が赤と白の2つあり、人気の撮影スポットに。
街なかにも、店先にちょうちんが飾ってあったり、街路灯がちょうちん型だったり、ほかにも「ちょうちん踊り」という踊りや「小田原ちょうちん踊り保存会」があったりと、実はかなり街や市民に根付いています。
あなたの心に明かりを灯す「小田原ちょうちん」、見つけに来てみてください。
巨大な小田原ちょうちん

巨大な小田原ちょうちん

小田原ちょうちんの形をした灯台

小田原ちょうちんの形をした灯台

ちょうちん踊り

ちょうちん夏まつりのちょうちん踊りコンクール

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