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レポート

2017.06.01

恵まれた環境の力が、感性も大きく育ててくれる。

富田さん 農業

挑戦と再発見の日々

もともと生まれも育ちも小田原。大学進学で横浜に移り、社会人になって建築設計の仕事を始めてからは東京の新宿に職場がありました。そして10年ほど前に実家に戻って農業を継ぎました。設計の仕事も独立して続けています。
農業の方は稲作を中心に、トマトやキュウリ、大豆なども育てています。生産物の販路を広げようと、市内の同業者3人でチームを組んでチャレンジ中です。仲間は市外から移住した新規就農者で、年代も近い。今は東京と藤沢で土日に直販スペースを出しています。養鶏を営むメンバーに私も含めた他のメンバーが残ざん渣さ飼し料りょうを提供し、逆に肥料用に鶏糞をもらう地域循環も進めていて、いずれは生産から消費まで小田原で完結できたら理想的ですね。
小さいころから見慣れた田園風景も、ストレスフルな都会から帰ってくると再発見があります。
田んぼからは富士山の裾野まで大きく見える、その光景一つが改めて幸せなことだなって、単純に癒されますね。あと都会に比べると「音」がない。夜なんて、ほんとに「シーン」って〝音のない音〞がしますから。
富田さん自宅の縁側
富田さん自宅建築作業

環境が育む クリエイティブな発想

富田さん家族
農業と設計の仕事は相乗効果もありますね。デスクワークだけだとどうしても考えが固まりますが、農作業で他のことは何も考えない時間に身を置くと、ふっとアイデアが浮かんだり。自然を相手に全然違うことをすると、頭や気持ちがリセットされるんだと思います。
この恵まれた環境は子育てにも魅力的ですが、もう一つ「人がつくる環境」も大事。都会だと「あそこの子はどこどこの学校に行った」と、そのつもりはなくても気にしてしまう。人と比較する要素が多過ぎるんです。そういうしがらみは、ここで感じたことはないですね。
大事なのは誰かと比べてどうこうじゃなく〝その人自身〞ですから。それを形づくる上でも環境の力は大きい。自分自身、ここで育ってなければ設計の仕事をしてなかったかもしれない。クリエイティブな仕事の人が意外と田舎の出身だったりするのも、小さいころに受けた影響が潜在意識に残るからでしょう。小田原に移り住むアーティストや料理人も、そういう場を求めたのかなと思います。●
壇上さん
富田さんとチームを組むメンバーの1人、壇上貴志さん。東京から移住し、異業種から新規就農。市内でネットワークを作りながら自然の力を最大限引き出した養鶏に取り組んでいる。

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