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移住

2024.08.26

大切なものが全部あるまち【平澤さん・移住】

平澤さんの写真
元々働いていたエンジニアの世界から、「農業」の世界へと大きくシフトチェンジをした平澤勉さん。人生の転機のきっかけとなったとある出来事や、住んでから気がついた「小田原」という土地の本当の魅力、そして、おすすめの過ごし方などを伺いました。

生き方を変えるために、住む場所を変える

もともとは自動車メーカーのエンジニアでした。
普段は建物の中で仕事をしていた反動もあってか、プライベートではアウトドアが好きになって、キャンプや山登り、ツーリングなどをしていました。
ところがある時、バイクで高速道路を走行中に事故にあい、生死をさまよいましたが奇跡的に生存しまして、リハビリを含めて1年ほど休職しました。
この時「本当に人はいつ死ぬかわからない」と実感し、私自身も関わる人にも、この先どんな人生になろうとも『いろいろあったけど、良い人生だった』と思えるようにあって欲しい、と思うようになりました。
仕事に復帰してからは、技術的な正しさだけをひたすら追求していた考え方を変えて、共に働く仲間たちとこの会社で働いて良かったと思えるような会社や仕事をしようと、社内の組織改革にファシリテーターとして携わるようになりました。

そうして迎えた40歳の節目でふと、残りの人生の使い方を変えようと思い退職しました。次の仕事が決まっていたわけではなかったですが、まずは一旦辞めよう、という感じでしたね。

生き方を変えるのであれば「住むところを変えよう」と思い、新しい場所を探しました。
それまでは横浜・桜木町で暮らしていましたが、もっと自然が豊かな場所を求めて半年ほど、あちこちに足を運び探しました。そんな時に、たまたま国府津にたどり着きました。それまでは小田原に来たことはほとんどなく、事前情報もない中で偶然たどり着いた場所でしたが、国府津の山から相模湾や足柄平野を一望する景色を見て一目惚れし、「ここだ!」と決めました。

農業との出会い

会社を辞めて数年は、日本の各地で地域づくりのファシリテーターの仕事を頂く機会があり、出張ばかりの日々でした。それまで、国府津の景色は綺麗だなと思っていましたが、それ以上の関心はなく、ただ住んでいるだけだったんですね。それが移住して数年経ち、たまたま近くの梅農家さんで収穫体験があることをSNSで知り、参加したところ、近くで暮らしている人たちが深く悩んでいることに初めて気づき、それまで全く縁がなかった農業に興味を持ち始めました。そして、自分が当事者になって取り組みたいと強く思うようになりました。
とはいえ、農業は全くの門外漢でとっかかりも分からず困っていたところ、小田原で耕作放棄地の解消にも取り組んでいる『農地活!片浦(Re農地)』の活動を知り、そこからのご縁で、曽我梅林の梅農家さんと繋がることが出来ました。

知れば知るほど面白い小田原の「景色」

「景色」が本当に素晴らしいですね。ただ単に眺めが良いということではなく、その景色を形作っている歴史や文化、産業、暮らし方も含めて面白いと思います。

例えば曽我の高台からは、丹沢も箱根も富士山も見えて、眼下に相模湾や足柄平野、酒匂川が見えます。
それらの数億~数千万年の歴史に触れたり、知ることができたりすることで、これらの地形がどのように出来たのかといったことを感じることができます。地元の子どもたちは里山の自然の中で、100万年前の化石を掘ったり1万年前の縄文式土器の破片を拾ったりして遊んでいます。また、酒匂川の歴史に注目してみると、取水堰の成り立ちや、河口付近を中心にここ50年で海岸線が大きく後退していることなどを知ることができます。
こうして人と自然の関わりを、複合的かつ日常で体験することができるところが素晴らしいと思います。
こういうことの多くは地元の人たちから口伝で教えてもらい、私も曽我を訪れてくださる方達にお伝えしています。

国府津の北側、曽我方面からの景色
国府津の北側、曽我方面からの景色
平澤さんの農園の「梅」
平澤さんの農園の「梅」

オススメの過ごし方

小田原駅周辺は政治家や実業家の旧邸宅なども入館出来るところが多く、おしゃれなカフェを見つけたりしながらゆっくりと贅沢な時間を過ごすことが出来ます。一方、国府津方面では海からすぐに曽我の山に上がることが出来て、稜線伝いに景色が良く車通りの少ない農道をトレッキングする人たちが沢山いたり、中河原に広がる田んぼ地帯では水田と富士山の素晴らしい眺めを撮り続けるカメラマンがいたりします。
このように小田原は色々な趣味や興味関心を持つ人を受け入れる懐が深い場所で、自分だけのお気に入りスポットを見つけて、そこの空気に浸るように時間を過ごすことがオススメです。

曽我の高台にある休憩スポット
曽我の高台にある休憩スポット
平澤さんオススメスポットのひとつ「弓張の滝」
平澤さんオススメスポットのひとつ「弓張の滝」 静かな森の中にある滝でリフレッシュできる

小田原は「大切なものが全部あるまち」

大事なもの、大切なものはここにすべてあって、不必要なものや過剰なものはあまり無いと思います。 
移住前は毎週末山梨や長野などに自然を求めて出かけたり、都内へ刺激を求めて遊びに行ったりしていましたが、小田原に移住してからはあまり興味がなくなってしまいました。小田原は知れば知るほどおもしろいことが沢山出てくるし、私を満たしてくれるものはここに全てある、という実感があります。
その豊かさが多くの人に伝わってほしい一方で、大切にしたいという意味で知る人ぞ知るところにしておきたいという気持ちもあります(笑)

今後の野望・願い

小田原や曽我の土地がもたらしてくれる多幸感を、より多くの人に伝えていきたいです。都内や川崎・横浜、あるいは小田原駅周辺から曽我に来て過ごされた方からは、「良い1日だったなぁ」という声をよく聞きます。その感じをより広く伝えていくために、ツアーや体験プログラム、農泊、お試し移住などをやってみたいですね。

あとは、将来的には空き家の利活用として「農業コーポラティブハウス」みたいなものもやってみたいです。
遠い親戚くらいの距離感で色々な世代の家族が近いところに住むイメージで、それぞれの暮らしは大事にしながら、たまにみんなと一緒に農作業をやったり、大きなテーブルを囲んで一緒にご飯を食べたりしながら、家族や世代の枠をちょっと超えて、喜び合ったり気にかけあったりしながら暮らす、そんな場所が出来たらいいなと思います。

何より「曽我」という素晴らしい場所・風景が100年後も続くように、自分のできることをやっていきたいと思います。
 

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