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レポート

2019.10.18

【mi's navi】ちょっと不便なくらいがいい。すみれカフェは出会うべくして出会った場所

小田原には、古くから、また新しくも、まちのいろいろなところに、“あたりまえ”の存在として、「カフェ」が佇んでいます。
おしゃれなカフェ文化とは少し違う、
のんびりとした、おだやかな空間。
地元の人の憩いの場所にもなっている「カフェ」。
もちろん、〇〇がおいしい、雰囲気がいい、イベントが楽しめる、etc
特徴はそれぞれにありますが、
共通してるのは、こだわりやカタチからではなく、
やってくるお客さんがお店の雰囲気をつくっているような、
独特の空気感かもしれません。
そんな小田原のカフェのオーナーに、どんなきっかけでお店を始めたのか?
日々どうお客さんとふれあい、どういう思いで運営しているのか?
お話をうかがってきました。

【すみれcafe】

オーナーのチエさんが一目惚れした雰囲気ある外観。

オーナーのチエさんが一目惚れした雰囲気ある外観。

[創業]2018年

[場所]宮小路エリア

[特徴]
・ミュージシャンでもあるオーナーの世界観あふれる、キュートな昭和レトロカフェ
・ふわふわのかき氷&クセになるグリーンカレーに特化した、こだわりのメニュー

カフェをやろうと思ったきっかけ&経緯って?

近年再注目のディープゾーン&歴史的エリアでもある“宮小路”に、2018年、突如オープンした「すみれcafe」。
ふわふわでフォトジェニックなかき氷は若い女性ファンも多く、昭和レトロな雰囲気も相まって、独特の存在感を放っています。
オーナーの木村チエさん(通称:チエさん)は小田原生まれの開成町育ち、そして現在は再びの小田原在住。
特に小田原の高校に進学後の青春時代は小田原でたくさん遊び、思い出も多いそうです。
小田原や近隣エリアに友人もたくさん。なので、若い頃も小田原を出ようという気にならなかった、と話します。
カフェをやろうと思った動機についてうかがうと、過去には、間借りしたカフェでの居抜き運営や、夏のみ居酒屋の店舗を借りてかき氷店をしていたこともあったけれど、元のお店の雰囲気を壊すことはできず、特に居酒屋のオーナーにはよくしてもらい楽しくはあったけど、「正直、“自分の店であって自分の店じゃない”感覚があった」のだそう。
心のどこかに、“自分の店を持つ”ことへの憧れを持ちながら、ずっと踏み出せずにいたそうです。
カフェオープンの決断をしたきっかけは、「“50歳”っていう節目」。
ボーカルとして音楽活動もしている、オーナーのチエさん。
ボーカルとして音楽活動もしている、オーナーのチエさん。
特に若い女性客に人気のカラフルなかき氷「パステル」(チエさん撮影)。

特に若い女性客に人気のカラフルなかき氷「パステル」(チエさん撮影)。

「今だったらまだやりたいことができるけど、60歳になった時に、50ってまだ若かったのに何であの時まだ50だしって思っちゃったんだろう、って思うのイヤだから」

そして、何とそのタイミングで、ある神社の“願いが叶うと持ち上がる石”を持ち上げることができた!のだそう。
「うちの旦那もお姉ちゃんもチャレンジしたんだけど、自分だけ。じゃ、カフェやる?みたいな」
チエさんらしいユニークなエピソードを披露し、笑います。

今の場所を選んだ理由、魅力は?

そんなチエさんの背中を押したのは、“石”だけではありませんでした。
物件を見る練習のつもりで、初めて今の店舗に内見に訪れた瞬間、直感で「すみれcafe」のイメージがすべてハッと描かれたそうです。
「ここでやんなよ、ってこのお店が言ってたような、呼ばれた感じがあって。もう『ここ、おさえてください!』って」。

運命の出会いでした。
「すみれcafe」のある宮小路。夜とはまた雰囲気が違う。

「すみれcafe」のある宮小路。夜とはまた雰囲気が違う。

“宮小路”の立地にも抵抗はなく、逆に、“駅から少し離れたやや不便な場所”であることに魅了されているそうです。駅方面からだんだんと静かな風景に変わってくる変化が、「すごい楽しい」と話します。
“かき氷”や“グリーンカレー”に特化した現在のカフェの方向性も、立地と合っていると感じています。
「“名物の何々”ってした方が、自分だったらわざわざここまで行くかなって。路面店のにぎやかなところだったら、通りすがりに色んな人がコーヒー飲みにきたりしたかもしれないけど、それをやりたいのかな、自分は?っていう」
思い起こせば、チエさんが高校生の頃、小田原には個人経営の個性的なお店がたくさんあったそう。
「そういう個性的な店が、今、また逆に出てきたかなって。“小田原来たら面白いお店がぽつんぽつんてあるんだよ”の、一員になりたい、みたいな(笑)」
“わざわざ”行く、個性的なお店のある場所。
出会うべくして出会った場所、と言えるのかもしれません。

「すみれcafe」らしさって?

音楽やアート感あふれる店内。ギターはチエさん私物。

音楽やアート感あふれる店内。ギターはチエさん私物。

〈音楽&アート〉
ボーカルとして音楽活動もしているチエさん。
店内にはチエさんセレクトの音楽が流れ、壁にはギターや、ライブのポスター。
そのセレクトは音楽にとどまらず、チエさんが“惹かれる”アート作品も展示。
もちろん、ライブや個展、アート系のワークショップなども不定期に開催。
オーナーのアンテナを通した音楽やアートの要素もまた、「すみれcafe」らしさを演出しています。
 
壁掛け時計は「Good Trip Hostel & Bar」のリッキーさんから貰った物。

壁掛け時計は「Good Trip Hostel & Bar」のリッキーさんから貰った物。

〈昭和レトロ〉
昭和の雰囲気がとにかく大好き、というチエさん。
このお店に惹かれた要因のひとつもそこにあります。
さらにわき出るイメージの赴くまま、
ひとつひとつのディティールにこだわり、
自分らしい“昭和感”あふれるカフェを形づくっていきました。

今後の展望&方向性

定期的にライブイベントも開催。ガールズバンド・パーリーズのナンシーさんはここのスタッフでもある。

定期的にライブイベントも開催。ガールズバンド・パーリーズのナンシーさんはここのスタッフでもある。

“人が集まる場所”にしたい、とチエさん。
フードを楽しみに来る人、イラストの個展やライブに来る人。たまに行う夜営業に来る人。
お客さんがここに何を求めているかには色々あると思うけれど、「ここに来たらなんか面白い、みたいにしたい」。
今後は、小さいセレクトショップコーナーをつくるなど、もう少し面白いことも展開できたらいいと考えているそう。
けれど、まだオープンして1年。
こういう店ですと言えるのはもう少し先、とも話します。
「まだつくり中、って感じがする。“かき氷”と“グリーンカレー”はブレないと思うけど」と、おおらかに笑います。
カフェの軸は、オーナー自身。
それぞれの求め方で“わざわざやってきた”お客さんとともに、少しずつ、「すみれcafe」はその姿をつくっていきます。
自慢のグリーンカレーとトマト煮ご飯の“あいがけ”も人気。

自慢のグリーンカレーとトマト煮ご飯の“あいがけ”も人気。

カウンターや棚に並ぶ食器もチエさんこだわりのセレクト。

カウンターや棚に並ぶ食器もチエさんこだわりのセレクト。

カウンター席でチエさんとの会話を楽しむお客さんも多い。

カウンター席でチエさんとの会話を楽しむお客さんも多い。

ライブハウス「KA☆BOSS」でのステージ。

ライブハウス「KA☆BOSS」でのステージ。

特にお気に入りのガラス戸は、1枚1枚柄が違う。

特にお気に入りのガラス戸は、1枚1枚柄が違う。

チエさんオススメの作家・熊谷玲さんの作品展示スペース。

チエさんオススメの作家・熊谷玲さんの作品展示スペース。

「すみれcafe」
[住所] 小田原市本町2-11-16
[電話] 070-4075-4455
[時間] 11:30~18:30
[定休日]  火・金
[Facebook]https://www.facebook.com/sumirecafe
[Instagram]https://www.instagram.com/sumirecafe0605
オダワラボライター目黒さん

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