小田原市

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漁港の風景

獲れたての魚から元気をもらう
――― 漁師・込山豊志さん

船を任されて思う
漁師はチームプレイ

僕は小田原生まれ小田原育ち。親父は信用金庫の行員、漁師だった母方の祖父も早くに亡くなり、子どもの頃は漁師に特別な憧れはありませんでした。でも、小学校高学年になると、同級生の親父さんの漁船でよく沖に出て釣りをするようになり、県内の水産高校を卒業してすぐ船に乗って15年になります。

 
職場は総勢 17名。三艘の船を操業して小田原の伝統漁法、定置網漁をしています。小田原は魚種が豊富です。時期にもよりますが、今朝獲れたのは、ソウダガツオ、カマス、鯖が約10トン。漁場はみかん畑のある片浦地区から海を見下ろした辺りです。毎朝午前0時過ぎには起床し、出港は1時半、海中の網を揚げて港に戻るのは早朝4時頃です。魚を市場に出荷し、網の入れ替えなどすべての作業を終えるのは午前 11時頃。一年中このサイクルは変わりません。
 
寝るのは早くて午後6時半頃ですね。若い頃は友人たちと飲んで、居酒屋で目覚まし時計が鳴る、なんてこともよくありました(笑)。若い漁師の中にはサイクルに馴染めず辞めてしまう人もいますが、そんなものは慣れなんです。自分にはよく分かりませんが、満員の通勤電車に毎日乗る方がずっと大変なんじゃないかって。それに比べれば夜中に起きることなんてラクだと思うんです。
 
定置網漁は船の規模や装備も昔と変わり、小田原の漁師は今、若手が多いといわれています。昔は年配のかたからビシバシ鍛えられ、「仕事中にベラベラしゃべるな」とよく怒られたもんですが、やっぱり漁師もチームプレイですから、今は船の上でもある程度しゃべることでお互いの調子を感じています。とはいえ、僕はいわゆるチームプレイが苦手な人間(笑)。厳しく鍛えられ、昔のよさが分かる最後の世代でもあり、船を任されるようになった今は、自分なりにどんな後輩もおろそかにせず、苦労をできるだけ分散していけたらと思っています。

旨い魚とコーヒーと
家族のいる港の風景

この仕事は好きだし、何といってもおもしろいですね。特にそう感じるのは魚を獲ってるときと、食べてるときです(笑)。自分で獲ってきた魚を朝飯で食べるんです。やっぱり刺身で食うのが一番いいですね。旨そうだなと思う魚を港に戻って造りにしてもらうんです。「旨いもん食ってるなあ」って、しみじみ思いますよ。あと好きなのはコーヒー。毎朝自分でドリップしたコーヒーを持って行って、漁場へ走らせる船の上で飲むんです。そのコーヒーも格別に旨いです。

 
港近くの早川の河口から見る夕日はきれいですよ。犬を連れてよく歩いたもんです。港に下る坂道まで、2歳になる息子と嫁さんが、いつも迎えに来てくれます。船で働く姿を息子に見せたことはありませんが、将来、自分の仕事をやりたいと言ってくれたら嬉しいでしょうね。
込山さん

物腰が柔らかく気さくでありながら、まっすぐな眼差しが魅力的な込山さん。とにかく海が大好きで、仕事は漁師、趣味はサーフィン。現在、その才覚が買われ、小田原市漁業協同組合青年部のまとめ役として活躍している。