小田原発、ライフスタイルを考えるメディア

レポート

2015.05.07

このまちをもっともっと面白くしたい
――― シェアスペース「旧三福(93puku)」
山居是文さん、牛山惠子さん

「旧三福」は、好きなことをカタチにしていきたい人、表現したい人たちが、それぞれイベントや活動をしたり、コラボすることで新たな価値を提供していくスペース。東京でウェブディレクターとして働きながら小田原の拠点を探していた山居さんが、アートや教育関連の仕事をしていた牛山さんらの仲間たちと、空き店舗で小さなシェアスペース「旧三福(93puku)」を2012 年に立ち上げた。

みんながやりたいことをやれる場所

牛山恵子さん、山居是文さん
山居 以前から、小田原にも仕事場を持ちたいと考えていて、同時にそこでいろんな人が仕事にしろ趣味にしろ、好きなことをカタチにできたらすごく幸せなことだし、小田原がもっと楽しいまちになるだろうな、と思っていたんです。そんなとき、たまたま「いい物件がある」と紹介されたのが、この空き店舗なんです。じゃあ、ここを借りて、みんながやりたいことをやれる場所にしてみようと。

牛山 オープンのとき、「まずは自分がやりたいことを1つずつ書こう」となって、思わず「三福文庫」って勢いで書いちゃったんです(笑)。三福文庫は、「旧三福」の手づくりの棚にお薦めの本を並べた小さなライブラリー。「旧三福」のメンバーやお客さんが気軽に読んだり、貸し借りしたり、新しい本や考え方に出会うきっかけとして、ゲストを呼んで選書してもらったり、本にまつわる講演などもしています。運営してみて、直接話さなくても同じ本を読んだ人同士は心理的に近くなれる、「本」って気軽に人をつなぐツールだと気づいたんです。そこで「小田原ブックマーケット」を思い立ちました。本好きの店主がいる街なかのカフェやお店で、その日だけ本を売ってもらうんです。お店を持っていない人は「旧三福」や公民館で出店します。本を使って、売る側とお客さん側の両方を体験できるイベントで、お店を巡って街歩きも楽しめます。小田原は歴史的にも文学のまちなので、ここで本に出会ったという人が増えたらうれしいですね。
ブックマーケットの飾り
イベントの様子
93pukuロゴ

テーマは、日常にハッピーと驚きを灯す

山居 「旧三福」ができてから約2年間で200ぐらいのイベントが行われるようになりました。有機的に人がつながる場ができたことで、好きなことをカタチにしたり、面白いモノやコトを手掛けていく空気が広がってきていると感じます。これからは、こうしたものをいかにまちの日常として定着させていくかが、「旧三福」のテーマだと思っています。自分が旅行に行くときもそうですが、観光地を巡るのではなく、そこの空気を吸いに行くようなところがあると思うんです。路地裏に何があるかとか、地元の人が行くような飲み屋で飯を食うとか、いつもある日常を観察する方が楽しいなって思うんですよ。これからの小田原の楽しみ方も、そこにあるのではと思っています。

牛山 このまちには面白い人がたくさんいますが、イベントに来てくれたときなどに接点を持って、どの人とどの人をつなぐと、どんな新しい動きが生まれるかを常に考えています。まちで面白いことをやりたいと思っている人たちが、もっと集まる場をつくっていきたいです。
ブックマーケットの様子
ブックマーケットの様子

子どもから高齢者まで、多くの人が来店しました。

旧三福(93puku)

旧三福(93puku)
小田原市内の商店街にあった元中華料理店の空き店舗をセルフリノベーションしたシェアスペース。小田原と周辺地域にクリエイティブで楽しいイノベーションを起こすこと、自分らしいライフスタイルをつくることを目的として、2012年4月オープン。
昼間はコワーキング(共同事務所)、夜と週末は教室、イベントスペース、ライブラリー、バーなど、時間や関わる人によって多種多彩に表情を変え、たくさんのアイディアや出会いが生まれる場となっている。

小田原ブックマーケット

小田原ブックマーケット
「本と人と街が出会う一日」をコンセプトに、小田原の街なかにあるカフェ・公民館・雑貨屋さんなどの一角を会場として、1日だけの小さなこだわりの本屋さんが開店するイベント。ぶらぶらと街を散策しながら、本を通して売り手と買い手が交流する楽しみを味わえる。

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