小田原市

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【mi's navi】世界3位のフロマジェの挑戦。空の見える街小田原で、一歩ずつできること。

小田原には、色々なジャンルで、世界で活躍されている方がいらっしゃいます。
小田原から世界へチャレンジしている方に様子や思いをうかがいました。
 
 
オーナーの鈴木さん。チーズをカットする真剣な表情。

オーナーの鈴木さん。チーズをカットする真剣な表情。

 

フロマジェとは、チーズ職人のことをいいます。
世界大会である「世界最優秀フロマジェコンクール2019」で3位に入賞したのが、小田原市本町、三の丸小学校近くにあるチーズ&ワイン専門店『アオイミネ』のオーナー・鈴木裕子さん。

なぜ小田原のこの場所でお店を?

お店の前の通り。「駅方向からこっちにくるとすごくひらいてる感じがして、開放感がある」

お店の前の通り。「駅方向からこっちにくるとすごくひらいてる感じがして、開放感がある」

都内在住の鈴木さんが小田原に移住し、お店を開業したのは2017年。
東京の自宅を気に入っていたこともあり、開業を考えた際に、都内では引っ越したくない、引っ越すのなら東京以外の場所がいい、と思ったそうです。
それまで小田原には来たことははなかったものの、東京への利便性や、実際に物件を見にきた時に感じた、海も山も近く、空気がのんびりとしている雰囲気、「街を歩いた時に”空”がちゃんと見える」ことに強く惹かれたと言います。

「東京にいると、視界に入ってくる空ってすごく狭いので。この環境、のんびり時間が流れてる感じがいいなあと思って」


お客さまはどういう方が多いですか?

お店外観。フランス国旗が目印。

お店外観。フランス国旗が目印。

そんなに沢山の方に来ていたいただいてる状況ではないのですが..

と前置きしつつも、「層としては、地元の方と観光の方と両方来ていただけてると思います」。
ただ、どちらかといえば、チーズは小田原や近隣エリアのチーズ好きな人がリピーターとして購入しに来ることが多く、観光客の方はパンを買う目的で来るケースが多いよう。
全体でみると、今まではどうしてもパン目的の方が多かったのですが、今回の国内優勝&世界大会3位の結果を受け、少しずつ、チーズ目当てのお客さまも増えてきたと話します。
 


移住者との出会い。地元の人との交流。イベント参加、そしてコンクールへ。

「小田原でお店をさせていただいていることで、ただ居住地として住んでいるのとは”出会える人”が圧倒的に違う」ことも感じているそうです。
それは、お客さまだけでなく、同じ移住者との出会いや地元の人との交流もさしています。
最初の印象的な出会いとしては、同年同日に小田原にやってきた(引っ越し屋さんも一緒だった!)という、ワークショップ&アート雑貨『そろりと小田原』のオーナー・関敦子さん。
「そろりとさんの1周年記念イベントでお声がけいただいて。旦那様(プロベーシスト・関雅夫さん)のライブに、うちの方でワインとチーズを担当しました。それからもうずっとお世話になっていて」
今では、休みの時もふらりとお互いのお店に顔を出し合う仲です。
そんな距離感が、子供の頃学校帰りに遊びに行き合うような感覚を思い出して、「ホッとできる”人”と”場所”があるっていいなあ」と、小田原住まいの心地よさを感じてもいるそう。
地域のお店やクリエーターなどいろいろなジャンルの人が出店する小田原では民間最大規模のマーケット「小田原バザール」(ハルネ小田原で開催)には、その関さんが出店することに触発されて、出店することに。
立て続けのイベント参加は、鈴木さん自身もとても楽しんだそうです。
「特にそろりとさんで、実際にワイン飲んでチーズ食べてっていうのを皆さんが本当に楽しそうにしているのを見て。なんかこういうのっていいなって」
通常のお店での販売、お客さんを待ち、商品を揃え…といったことだけでなく、「もっと自分のできることをやってかないといけない」と思うきっかけになったと話します。
その”できること”の中に、2年前から密かに挑戦したいと思い続けてきたコンクール、「日本最優秀フロマジェ選手権大会」もありました。
 
国内大会で優勝した時のチーズプラトー作品。(鈴木さん提供)

国内大会で優勝した時のチーズプラトー作品。(鈴木さん提供)

元々、観客として「日本最優秀フロマジェ選手権大会」の第1回(2017年)を見に行った時、
”チーズでこんなに色んな表現ができるんだ、美しく見せられるんだ”
ということに感動したのが、このコンクールを目指すようになったきっかけでした。

お店を始めて日々が大変になり、どこかで出場を諦めていた部分もありましたが、「大変は大変だけど、頑張ればまだできる。他のこともできる、コンクールにチャレンジすることもできる。逆に2年後(次回)何が起きてるかわからない」と、意を決して応募することに。

その結果、なんと”国内優勝”。

ただ、鈴木さん本人にとっては悔いの残る大会でもありました。
「世界大会では、今回できなかったこともクリアしなきゃいけない。もっとたくさんの課題と向き合わなきゃいけない。なので、100%嬉しいだけではなかったです。嬉しかったですけどね(笑)」

「世界最優秀フロマジェコンクール2019」

 
世界大会でのチーズプラトー作品。(鈴木さん提供)

世界大会でのチーズプラトー作品。(鈴木さん提供)

 

国内大会の決勝で気付いたという鈴木さんの課題は、時間配分。特にプラトーという、用意されたチーズを使って自由に制作する課題での時間をどう組み立てるかに頭を悩ませました。
「いかに前半をキュキュッと、後半に時間を残せるかしかないなあって思って。一皿一皿、考えることなくスムーズにつくれるように、何度もイメージトレーニングしました」
大勢の観客が入ってのプラトーづくりは緊張もしたそうですが、日本からもたくさんの応援が来て、鈴木さんの名前を呼ぶ声もダイレクトに聞こえてきました。
その時のトピックは、今年の4月に小田原のお店に旅行で寄ってくれたフランス人の家族が、わざわざ会場に来てくれたこと!だそう。
「たぶんそういうのも、ちょっと心がリラックスしたりだとか、本当に色んなことがいい方向に働いた気がしてます」
結果は驚きの”世界第3位”!
「自分がやるべきことを、確実に、しっかりと、ちゃんとやりきること」が世界大会の目標だったと話す鈴木さん、「そこはやりきりました。そういう意味での手応えはありました」と、納得のいく表情で微笑みます。

小田原に戻ってきて、これからやりたいことは?

世界大会を終え、小田原に戻ってきた鈴木さん。
今後やりたいことについて質問すると、「やはり、そろりとさんでワインとチーズを楽しんでいただいてるのが、すごい嬉しかったので」とあらためて振り返り、「自分のお店でも狭いけどできなくはないなあって思って」。
実は昨年末に、『アオイミネ』店内にて”コンテ(フランスのハードチーズ)を食べる会”を企画していました。
ちょうどそこからコンクールの準備が始まってしまったため中断していましたが、今年の8月からまた、試食やチーズのアレンジの提案をするイベントなどもしたいと考えているそうです。
「販売してるだけだとお伝えしきれなかったりするので。食べていただきながら、色々興味を広げていただけるような、そういうきっかけができるようなイベントを少しずつやっていけたらいいなあとは思ってます」
世界3位の”フロマジェ(チーズ職人)”は、空の見える街・小田原で、一歩ずつ”できること”への挑戦を続けていきます。
国内の工房でつくられたチーズも販売。

国内の工房でつくられたチーズも販売。

自家製パンの評判も高い。

自家製パンの評判も高い。

ワインやチーズ以外にも様々な食品を扱う。

ワインやチーズ以外にも様々な食品を扱う。


試食会などの少人数のイベントも開催。

試食会などの少人数のイベントも開催。

商品によっては量り売りで購入可能。

商品によっては量り売りで購入可能。

陳列された様々な味わいのチーズ。

陳列された様々な味わいのチーズ。


 
 
オダワラボライター目黒みどり